【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。米長期金利の上昇を背景に「ドル買い・トルコリラ売り」が継続している。これに加えて、トルコ中央銀行が、2桁台に加速する物価上昇率を抑制できないのではないかとの懸念が売りを一段と強めている。4月の消費者物価指数(CPI)は前年比で10.85%上昇し、トルコ中銀のインフレ目標である5.0%を大きく上回っている。

一方、トルコ中央銀行は4月、実質的な政策金利となる後期流動性窓口金利を0.75%ポイント引き上げた。次回の金融政策決定会合は6月7日に開かれるが、エルドアン大統領が利下げを示唆しているため、市場はトルコの金融政策に対して疑いの目を向けている。また、6月24日に同時実施される議会選と大統領選を巡る不透明感も圧迫要因となっているようだ。

*今週のトルコリラ円は、下落基調が続きそうだ。先週14日、エルドアン大統領は政府代表団を率いて、ロンドンで有力機関投資家に経済政策の説明会を開いた。通貨リラの急落に見舞われいるトルコとしては、政策運営に安心感を持ってもらう狙いだったが、出席した投資家の間には「衝撃と不信感」が広がった。エルドアン大統領が景気刺激のための金利引き下げを目指しながら、物価上昇と通貨安に歯止めをかけるという計画を述べたことが、投資家の不信感を増大させたようだ。通常、通貨安やインフレ率の上昇に対処するためには利上げを行う。

エルドアン大統領は物価抑制には金融引き締めで対応するという金融政策の理論を無視している。ドル高や原油価格の上昇がトルコ経済を直撃している。15日には、エルドアン大統領が6月24日の大統領選と国会総選挙後に経済の統制を強化する意向を示すと、中央銀行の物価コントロール能力を巡る不安が強まり、トルコリラは対ドルで過去最安値を更新した。

インフレが国民生活を圧迫している中で、6月24日に大統領選挙が行われるが、選挙でエルドアン大統領が勝利した場合、金融政策への関与を強めると発言しており、市場は政治リスクへの警戒を強めそうだ。


【トルコ経済指標】
23日水曜日
16:00トルコ5月消費者信頼感指数 前回71.9

25日金曜日
20:30トルコ5月景気動向指数[季調済] 前回106.8
20:30トルコ5月設備稼働率 前回77.3%


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*予想レンジ:24.00円~25.00円


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