【 東京金は値固めの保ち合いになりそう】    
*先週のNY金は往って来い。週央に1311ドル台まで上昇したものの、週末には1300ドルを割り込んで引けた。強材料としては、イタリアの政局不安、2018年1〜3月期米実質GDPの下方修正、トランプ政権によるEU、カナダ、メキシコに対する鉄鋼とアルミニウムの追加関税発動を6月1日から実施するとの決定などがある。

弱材料としては、4月米個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比2.0%上昇したこと、5月米雇用統計が予想以上に良好だったこと等がある。雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比22.3万人増と、前月(15.9万人増)から伸びが加速。また、失業率も3.8%と、2000年4月以来の低水準となった。物価上昇の先行指数として注目される平均時給も前月比0.3%上昇の26.92ドルと予想の0.2%上昇を上回った。労働市場の堅調さが裏付けられ、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年計4回の利上げに動く公算が大きいとの観測が広がり、金は一段安となった。

etf0605

来週12、13日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され利上げが確実視されている。市場は今年の利上げが年3回に留まるか、4回に加速するかどうかに注目しているが、最近の経済指標からは4回が有力視されている。そのため、ドルは堅調に推移し、NY金は上値の重い展開となろう。一方で、米国と他国の貿易協議や関税措置はリスク要因と考えられるため、金の下値をサポートしよう。そのため、1300ドルを挟んでの保ち合いが予想されるが、金ETFの減少に見られるように、金投資意欲が大きく減退している点は注意したい。

nyg0605

*NY金予想レンジ=1280~1320ドル

*CFTC建玉5月29日時点:ファンドの金買い越しは11万5130枚(前週比+2万4173枚)と増加。総取組高は46万9382枚と前週比3万3560枚の減少。

*先週の東京金は軟調に引けた。イタリアの政局不安を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げは年3回に留まるとの見方が強まった。しかし、その後発表された4月米個人消費支出(PCE)物価指数や5月米雇用統計が予想以上に良好だったことを受けて、年4回の利上げ見通しが息を吹き返している。6月の利上げはほぼ確実視されているが、声明で利上げペースを加速することが示されるかどうか注目される。12日には初の米朝首脳会談が開催される予定であるが、これはリスク回避姿勢を強めよう。

一方、米国とEU、カナダ、メキシコに対する関税措置を受けて対抗措置が取られよう。米中貿易協議もまとまっていない。こうした不安感は金のサポート要因にはなるが、決定打に欠ける。ドル円相場は、米国の利上げ見通しを受けて堅調に推移しているが、イタリアの政局不安から安全資産である米国債の需要が高まり、米長期金利の上値が重くなっている、そのため、ドル円も伸び悩みそうだ。東京金も強弱材料に挟まれて方向性が出にくく、保ち合いが続くだろう。

tkg0605

*東京金予想レンジ:4480~4580円。


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。