【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は大幅下落となった。米連邦準備制度理事会(FRB)は13日、約3カ月ぶりの利上げを決定し、今年の利上げペースが年3回から年4回へ加速することが示された。14日には欧州中央銀行(ECB)が、量的金融緩和政策を年内に終了することを決めた。これを受けて対外債務の比率が高いトルコリラは売られた。

24日の大統領選挙では、依然としてエルドアン現大統領が優勢との世論調査も嫌気されたようだ。トルコ第1四半期国内総生産(GDP)は前年同期比+7.4%となり、市場予想(+7.0%)を上回った。GDP成長率は前期比(季節・日数調整済み)では+2.0%。4月経常赤字は54億2600万ドルに拡大し、予想の53億ドルを上回った。

*今週のトルコリラ円は、24日の選挙を前に上値が重くなりそうだ。開票直後の市場の動きに注意したい。トルコでは昨年4月の国民投票で憲法改正が承認され、今回の選挙後に1923年の建国以来続いてきた議院内閣制から、権限が拡大された大統領制に移行するため、トルコ政治の大きな転換点となる。 エルドアン大統領は今年の4月、2019年11月予定の選挙を今年6月に前倒しすると発表した。財政出動による景気対策の限界を見越し、経済が悪化する前に選挙を済ませておきたいという思惑があったとみられる。

最近の世論調査結果では、エルドアン大統領への支持はおおよそ45~48%に留まっているという。得票率が50%に達する候補者がいない場合、上位2人による決選投票が7月8日に行われる。経済低迷などから政権への不信感が高まり、エルドアン大統領が1回目の投票で再選を決めるかは不透明になってきた。野党共和人民党(CHP)の立候補者インジェ氏は、「国は崩壊している」とエルドアン大統領を批判し、支持を広げている。CHPなど野党は、エルドアン氏の強権統治への危機感から選挙協力で合意。決選投票になった場合、野党側は一致して野党候補を支持する方針で、インジェ氏がエルドアン氏と争う可能性が指摘されている。トルコの選挙結果、その後の政局は不透明感が強く、トルコリラは上値の重い展開が続きそうだ。

大統領選に立候補しているのは、エルドアン氏の他、最大野党・共和人民党(CHP)のインジェ氏、新党・優良党(IYI)の女性候補で元内相のアクシェネル氏、クルド系政党・国民民主主義党(HDP)の前共同党首で拘束中のデミルタシュ氏ら。 仮に、24日で決まらず(過半数に達しない場合)、決選投票となれば、野党共闘が実現するとの見方もある。総選挙を巡っては国会の定数が550から600に増加。任期も4年から5年に延長される。

格付け会社フィッチ・レーティングスは11日、トルコのソブリン格付けについて、今月24日に実施される大統領選や議会選後に政権が同国経済の弱点に対処すれば、現在の不安定な状況を切り抜ける可能性があるとの見方を示した。フィッチのトルコソブリン格付け(外貨建て)は投資不適格(ジャンク)級の「BBプラス」。格付け見通しは「安定的」としている。

【トルコ経済指標】
19日火曜日
20:30 4月住宅価格指数前年比 前回+9.48%

20日水曜日
16:00 5月住宅販売前年比 前回-9.9%

21日木曜日
16:00 6月消費者信頼感指数 前回69.9

24日日曜日
トルコ大統領選、トルコ総選挙

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*予想レンジ:22.00円~24.50円


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