6月22日(金)
【6月21日の海外相場および市況】
ny0621

*21日のNY外国為替市場では、低調な米経済指標をきっかけに円買い・ドル売りが進み、110円を割り込んだ。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が市場予想を下回ったことを受けて、ドル売りの動きが加速した。NYダウや米長期金利の低下もドル相場を圧迫した。中国が米輸入車に報復関税を適用する方針であることを理由に、独自動車大手ダイムラーが通期の業績見通しを下方修正。米中貿易摩擦が実際の企業活動に影響し始めたと受け止められ、リスク回避モードが強まった。

* メキシコ中銀は21日の政策決定会合で、政策金利を7.50%から25ベーシスポイント(bp)引き上げて7.75%とした。利上げはペソ急落に伴うインフレリスクの高まりを抑制する狙いがある。先週に1年半ぶり安値を付けていたメキシコペソは小幅上昇。ただ、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉や7月1日のメキシコ大統領選を巡る懸念から、ペソの上値は重かった。

*21日のNY金は3日続落。米中「貿易戦争」突入への警戒感が強まる中、欧州連合(EU)も米国に対する報復関税を22日から発動すると発表し、通商摩擦問題が世界規模に拡大するとの懸念が広まった。金需要の見通しが悪化し、金の買い控えムードが強まった。また、米利上げペースの加速観測を背景としたドル指数の上昇も圧迫要因となった。NY白金は金に連れて反落。

*21日のNY原油は、石油輸出国機構(OPEC)定例総会を22日に控えて増産決定に対する警戒感から反落した。OPEC加盟国は22日、ウィーンで定例総会を開く。総会では増産を協議し、合意する見通し。これまでの事前協議で、OPECを主導するサウジアラビアによる増産提案に対し、当初難色を示していたイランが小幅な増産であれば容認する可能性も示唆。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は日量100万バレル程度の増産が必要と言及している。今総会で最終的に増産が決定されるかどうかは依然不透明な部分も残っているが、ある程度の増産は決定される可能性が高いとの臆測が広がった。また、米中間の貿易摩擦激化に対する警戒感も引き続き相場を下押しする要因となった。ただ、ドルが対ユーロで下落し、ドル建て原油に割安感が生じたほか、受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫減少の見通しが示されたことから、下値は限定的だった。

*21日のシカゴトウモロコシは続伸。安値拾いの買いや、過度な降雨により米中西部西域の一部で冠
水し、作柄に打撃を与える可能性が懸念された。シカゴ大豆は、米中貿易摩擦による需要減退懸念から反落。

*21日のNYダウは、世界的な貿易摩擦への警戒感が重石となり8日続落した。独自動車大手ダイムラーは前日、中国が米輸入車に報復関税を適用する方針であることを理由に、通期の業績見通しを下方修正した。米中貿易摩擦が企業活動に実際の打撃となり始めたことが確認され、業績期待が後退し、売りが優勢となった。6月地区製造業景況指数や、調査会社コンファレンス・ボードの5月景気先行指標総合指数がともに市場予想を下回ったことも弱材料となった。また、22日からの石油輸出国機構(OPEC)総会を前に、エネルギー株には手じまい売りが出た。 米中両国は強硬な姿勢を崩しておらず、貿易問題は引き続き相場の懸念材料となっている。


【22日の経済指標】
08:30 (日) 5月全国消費者物価指数 (前年比) +0.6%
      (日) 5月全国消費者物価指数 (生鮮食品除く:前年比) +0.7%
16:30 (独) 6月製造業PMI・速報 56.9
16:30 (独) 6月サービス業PMI・速報 52.1 
17:00 (EU) 6月製造業PMI・速報 55.5
17:00 (EU) 6月サービス業PMI・速報 53.8


第170回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/