【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は上値の重い状況になりそうだ。先週6日に発表された6月米雇用統計では、景気動向を反映する非農業部門就業者数は季節調整済みで前月比21.3万人増と、市場予想の19.5万人増を上回ったものの、失業率は4.0%と前月の3.8%から悪化し、物価上昇の先行指数として注目される平均時給も前月比0.2%上昇、前年同月比で2.7%上昇と、いずれの伸びも予想を下回ったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する「年内4回」の利上げ観測がやや後退した。

これに加え、6日には国と中国が互いに340億ドル相当の輸入品に対する関税を発動し、米中貿易戦争の激化が予想されている。米中が表面的な落ち着きどころを探るのか、関税合戦がさらに続くのかが不透明であるため、ドルを積極的に買いにくくなっている。米長期金利が高留まりしているため、ドル円の下値はサポートされようが、上値は重い展開になるだろう。

この他、中国株の動向も焦点となりそうだ。米中貿易戦争の激化懸念から中国景気が減速するとの見方から中国株が売られ、市場のリスクオフモードが強まっていた。しかし、先週末のNYダウは反発し、週明けの日経平均株価が大幅反発したことから、これが中国株に波及すれば、市場のリスクオフモードは後退し、ドル買いが優勢となる可能性があろう。一部では中国株は底値圏に達したとの見方を強めている。

また、今週は12日に6月米消費者物価指数(CPI)が発表される。コアCPIは前年同月比で+2.3%が予想されており、前回の+2.2%より上昇する見込み。予想通りであれば雇用統計で後退した利上げ見通しが強まる可能性があり、ドルを押し上げそうだ。

ユーロがドル円を押し上げる展開も想定される。先週は一部の欧州中央銀行(ECB)メンバーが2019年末の利上げは遅すぎると認識しているとの報道から、早期引き上げ観測が強まり、ユーロ円の上昇がドル円を押し上げた。ユーロ高がドル円を支える場面もありそうだ。

なお、米連邦準備制度理事会(FRB)は5日に6月12、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。FRBは6月のFOMCで、金利を0.25%引き上げ、年1.75~2.0%とすることを決定。景気が巡航速度で拡大するのに適した金利水準を2.875%(中央値)と想定した。議事要旨によると、多くの参加者が、緩やかな利上げを続ければ「来年ごろ」にその水準に到達すると予想した。さらに、参加者は、2019年か20年に利上げをやめるのが適切との認識を示唆したことが分かった。FRBが利上げ打ち切りの時期に言及したのは初めて。

cftc0709

*CFTC建玉7月3日時点:ファンドのドル買い・円売りは3万8730枚(前週比+4509枚)と増加した。総取組高は16万8360枚と前週比1万4794枚の増加。ファンドはドル買いを進めている。

<主なイベント・経済指標>
*9日は日本5月国際収支(経常収支・貿易収支)、11日は6月米生産者物価指数(PPI)、12日は6月米消費者物価指数(CPI)、13日は7月ミシガン大学消費者信頼感指数。

yen0710

*予想レンジ:108.50円~111.50円


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。