【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は大幅上昇した。1日投開票のメキシコ大統領選挙で左派のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏が勝利した。当初はロペスオブラドール氏が選挙期間中に経済政策をあまり明らかにしていなかったため、同氏の政策が不安視され、ペソも株価も下落した。

しかし、当選後に同氏が中央銀行の独立性や現在進められている北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉協議などを尊重すると発言したことで、下落には歯止めがかかった。その後、ロペスオブラドール氏の顧問を務めるヘスス・セード氏が、NAFTAの再交渉について、今後交渉は加速し12月の新政権発足前に合意に達することが可能だとの見方を示し、財政規律を維持する考えも表明したことで、リラは大幅上昇となった。

トランプ大統領とロペスオブラドール氏は2日、電話で会談し、移民や貿易、安全保障の問題などを話し合った。その後も外資の民間企業などに付与された石油・ガス開発・生産を巡る契約について、入札プロセスに問題がなかったことが確認されれば、新政権は尊重する方針であることを明らかにし、首都近郊に130億ドル(約1兆4300億円)を投じて空港を建設する計画は直ちに中止する意向はないと明らかにしたことが好感され、ペソは上昇した。


*今週のメキシコペソ円は押し目買いが継続しそうだ。新政権は市場との対話を積極的に行い政権交代への不安感払拭に努めている。また、米国との関係も修復しようとしている。そのため、先週のメキシコペソは対ドルで約2年ぶりの大幅な上昇を記録した。大統領選挙で勝利を収めたアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏が市場の懸念の払拭に努めたことで、メキシコに対する市場心理が改善した。ロペスオブラドール元メキシコ市長は5日、12月1日の就任式にトランプ大統領やカナダのトルドー首相などを招待する考えを示した。

ロペスオブラドール氏の顧問を務めるヘスス・セード氏は、NAFTA再交渉が12月の新政権発足前に合意に達することが可能との見方を示し、市場に安心感を与えた。また、メキシコの次期財務相候補カルロス・ウルスア氏は、外資の民間企業などに付与された石油・ガス開発・生産を巡る契約についても、新政権は尊重する方針であることを明らかにした。ウルスア氏はロペスオブラドール氏の側近で、新政権で財務相に就任する見通し。

同氏はまた、2019年の経済成長率については約2.5%になるとの見通しを示し、インフレ率は「4.0%近辺、4.0─5.0%の間」になると予想した。ロペスオブラドール氏は任期最初の3年で、ほぼ全てを米国から輸入している燃料をやめ、国内での精製を増やす方針。また、国内における原油生産の拡大を優先させることも表明。

S&Pグローバルは6日、北米自由貿易協定(NAFTA)が「後退」すれば、メキシコの信用格付け引き下げにつながる可能性があると警告した。 メキシコの現在の格付けは「BBB+」。 「後退」とは必ずしもNAFTAの完全な撤廃だけではなく、メキシコが享受している恩恵が縮小するケースも含むと指摘された。その理由として、NAFTA後退によって長期間にわたりGDP伸び率が低下すれば、歳入は減少し、財政赤字や政府債務拡大を招く恐れがあるとし、その結果としてメキシコの格付けを引き下げる可能性があると警告された。同時に、米国、カナダ、メキシコの3国がNAFTA再交渉で見解の相違を解消すると予想しており、後退は想定していないとした。


【メキシコ経済指標】
7月9日月曜日
22:00メキシコ6月消費者物価指数前年比前回4.51%

7月11日水曜日
21:55メキシコ5月外貨準備前回$177.21B

7月12日木曜日
22:00メキシコ5月工業生産前年比前回3.8%


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*予想レンジ:5.5円~5.8円


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