【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は上昇基調が継続し、年初来高値を目指す展開が続きそうだ。先週11日、米国が中国製品2000億ドルを対象に追加関税を公表した直後はドル売り・円買いが進行したが、その日のNY市場ではドル買いが優勢となり、ドルの強い地合いが確認された。米中貿易戦争の激化が懸念され、市場のリスクオフモードが強まり、ドル売り・円買いが強まり円高が進むとの思惑が外れ、ドルの買い戻し画急速に進んだ。

生産者物価指数(PPI).消費者物価指数(CPI)の発表を受けてインフレ率の高進が確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内あと2回の利上げを滞りなく決定できるとの見方が強まったことが背景にある。ここ数カ月間の上値抵抗線となっていた5月高値の111円40銭を突破したことから、ストップロスの買いも入り112円台が定着した。NYダウも2万5000ドルを回復したことから、リスクオンモードが強まり、ドル円は113円台をめざし、いずれ1月8日に付けた年初来高値113円40銭が視野に入るだろう。

さて、米中関税報復合戦の中で、なぜドル高が進んでいるのか。市場ではいくつかの見方がある。まず、関税引き上げで安い中国製品の輸入が細り、米国の国内物価には上昇圧力がかかり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを加速させるため、ドル高要因になるとの見方。また、米国による中国からの輸入額は年間約5000億ドルだが、中国による米国からの輸入額は約1300億ドルにとどまる。制裁関税合戦になれば輸入量で上回る米国の方が有利であり、最終的には米国が貿易戦争に勝ち、ドルの優位性が高まるとの見方。さらに今後、トランプ大統領が自動車への25%追加関税を発動すれば、日本の輸出に大きな打撃となり、貿易収支が悪化するため円安要因になるとの見方。

今週は、17日に予定されているパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が注目される。米中貿易戦争が激化する様相を見せているが、物価見通しや利上げスケジュールに変化はないか確かめることになる。米経済の強さを再確認するようであれば、ドル高がさらに進みそうだ。


*CFTC建玉7月10日時点:ファンドのドル買い・円売りは3万9832枚(前週比+1102枚)と増加した。総取組高は18万2066枚と前週比1万3706枚の減少。
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<主なイベント・経済指標>
16日はトランプ・プーチン会談(初正式会合)、7月NY連銀製造業景気指数、6月米小売売上高、18日は6月米住宅着工件数、19日は6月本邦貿易収支、米新規失業保険申請件数。

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*予想レンジ:111.00円~113.50円


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