【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。9日22時(日本時間)に、エルドアン大統領の就任式が行われた。財務相に娘婿のアルバイラク前エネルギー天然資源相を起用。トルコ政府はまた、中央銀行総裁の任期を5年間とした規定を撤廃した。元中銀当局者は、5年の総裁任期は政治家からの独立性を保つ一種の「盾」だったと述べ、規定改正に危機感を示した。

市場寄りとみられていたシムシェキ前副首相が閣僚から外れたことも失望を強めた。市場は金融政策に対するエルドアン大統領の影響力拡大を懸念した。エルドアン大統領は選挙期間中に、投資促進のために利下げを行うと明言していた。これを受けてトルコリラは下落に転じた。

S&Pグローバル・レーティングは10日、トルコのエルドアン大統領が財務相に娘婿を指名したことを受け、情勢を注視していると明らかにした。S&Pによるトルコの信用格付けは「BB-」(5月に引き下げ)で、これはムーディーズ・インベスターズ・サービスやフィッチ・レーティングスより低い水準。

*今週のトルコリラ円は上値の重い展開が続きそうだ。エルドアン大統領は2期目の就任を宣誓し、経済政策を仕切る財務相にエネルギー天然資源相だった娘婿のアルバイラク氏を起用した。市場は同氏の手腕や中央銀行の独立性低下を懸念し、トルコリラは急落に転じた。11日には金融引き締めを嫌うエルドア大統領による「金利低下を信じている」との発言が報じられた。同日発表された経常収支の悪化とともに材料視され最安値更新につながった。

来週24日にはトルコ中銀金融政策決定会合が開催される。直近のインフレ率は15%を超えており、市場は一段の金利引き上げが不可欠と見ているが、市場はエルドアン大統領がトルコ中銀の行動を阻止するのではないかと懸念している。アルバイラク新財務相は、中央銀行は独立していると述べるとともに、経済的現実や市場状況に応じて必要な措置を講じるとの見解を示した。

*格付け会社フィッチは13日、既に投資不適格(ジャンク)等級にあるトルコのソブリン格付けをさらに引き下げた。経常赤字の拡大、インフレの高進、通貨リラ急落の影響を理由に挙げた。フィッチはトルコの発行体デフォルト格付け(IDR)を「BBプラス」から「BB」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」とした。フィッチは「ここ数カ月で経済政策の信頼性が低下し、6月の選挙後の政策措置で不透明感が強まった」と指摘。「こうした環境は経済のソフトランディングを困難にする」との見方を示した。

なお、2016年7月15日のクーデター未遂後に発令された非常事態宣言が、7月18日夜をもって解除されることが決定された。


【トルコ経済指標】
16日月曜日
16:00 4月失業率 前回10.1%  予想9.2%

17日火曜日
16:00 5月鉱工業生産前年比 前回+6.2% 予想+2.5%

20:30 5月住宅価格指数前年比 前回+10.06%

19日木曜日
16:00 6月住宅販売前年比 前回+2.7%


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*予想レンジ:22.50円~24.00円


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