【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。新興左派政党のロペスオブラドール氏の大統領選当選により政権交代が起きることから、市場は当初警戒していたものの、同氏や側近らが財政規律を守る姿勢を示したことが好感された。

10日に発表されたメキシコ6月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.65%と前回の+4.51%を上回った。前回よりインフレが進んだため、メキシコペソは売られた。原油高による燃料輸送費の増加が原因のようだ。メキシコ中銀総裁は6月消費者物価指数が上昇するようなら、「さらに利上げを行う必要がある」と述べた。

*今週のメキシコペソ円は上昇基調が維持され、押し目買いが優勢となろう。格付け会社S&Pグローバルは、北米自由貿易協定(NAFTA)が「後退」すれば、メキシコの信用格付け引き下げにつながる可能性があると警告した。 メキシコの現在の格付けは「BBB+」。 「後退」とは必ずしもNAFTAの完全な撤廃だけではなく、メキシコが享受している恩恵が縮小するケースも含むと指摘された。

その理由として、NAFTA後退によって長期間にわたり国内総生産(GDP)伸び率が低下すれば、歳入は減少し、財政赤字や政府債務拡大を招く恐れがあるとし、その結果としてメキシコの格付けを引き下げる可能性があると警告された。同時に、米国、カナダ、メキシコの3国がNAFTA再交渉で見解の相違を解消すると予想しており、後退は想定していないとした。

6月消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回ったことで、8月2日のメキシコ中銀金融会合では、追加利上げが決定されるとの見方が強まっている。また、ロペスオブラドール氏は、任期中に大規模な石油精製所1カ所、もしくは中規模の石油精製所2カ所を建設することが目標だと言明した。メキシコは国内の精製所における生産が徐々に減少しており、今年に入ってから平均で日量約59万バレルのガソリンと、同23万バレルのディーゼルを輸入している。

ロペスオブラドール氏がメキシコ大統領に就任するのは12月1日だが、就任式にはトランプ大統領やカナダのトルドー首相などを招待する考えを示した。同氏は「我々は隣国同士で、経済および貿易面で関係を築いているほか、友情の絆で結ばれている」と語り、選挙期間中の強硬姿勢を和らげ、対米関係の改善に取り組んでいる姿勢が好感されている。


【メキシコ経済指標】
特になし


peso0717

*予想レンジ:5.8円~6.1円


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