【東京金は4300円台を固める可能性】 
*先週のNY金はほぼ変わらず。トランプ大統領が、中国からの輸入品2670億ドル相当に追加制裁関税を課す用意があると表明し、中国側も米国が新たな制裁措置を講じればそれに対抗する姿勢を明らかにした。「貿易戦争」の激化は今後の話し合いで回避されるとの見方も強く、米中による通商交渉の行方に注目が集まる中、様子見が強まった。両国間の摩擦が激化すれば、中国が不利となり人民元の下落を招き、中国の金需要が減退するとの見方が強まった。

トランプ政権は17日、中国による知的財産権侵害を理由とした制裁関税の第3弾を24日に発動すると発表。中国からの輸入品2000億ドル相当に10%の追加関税を課し、来年には25%に引き上げるとした。これに対し中国商務省は、報復を改めて示した。ただ、米政府が当初の税率を抑えたほか、携帯電話やパソコン本体を対象から外したことなどから、懸念されていたほど両国経済には打撃が及ばないとの見方が広がり、株を買って債券を売る動きが台頭し、米長期金利が上昇したため、金の上値は抑えられた。

etf0919

CFTC建玉によるとファンドのネットショートは前週の1万3497枚から7590枚に減少し、26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、ファンドはポジション整理に動き出したようだ。堅調なNYダウを背景に金ETFは減少傾向が止まらず、2016年2月以来の低水準に落ち込んでいる。1200ドルを挟んだレンジ相場が続きそうだ。

nyg0919

*NY金予想レンジ=1170~1230ドル

*CFTC建玉9月11日時点:ファンドの原油買い越しは54万3845枚(前週比-2万1885枚)と減少。総取組高228万1869枚と前週比2万1178枚の減少。
   
*先週の東京金は上昇し、4300円台に浮上した。NY金が狭いレンジで保ち合いだったが、為替が円安で推移したため、下値を切り上げる展開となった。18日、トランプ政権が中国製品約2000億ドル相当に24日から10%の追加関税を課すと発表したことを受け、中国は米製品600億ドル相当を対象とする報復関税を発表した。

しかし、米中の新たな関税が予想より穏やかな措置と受け取られ、NYダウは上昇し、米10年債利回りは3.06%と約4カ月ぶりの水準へ上昇した。日経平均株価も大幅続伸し、ドル円は112円台前半に浮上した。リスクオンともいえる状況にもかかわらず、NY金は1200ドル台を維持し、底堅く推移している。来週26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では今年3回目の利上げが確実視されており、市場は4回目の利上げに関して、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がどのような発言をするかに注目している。

8月米消費者物価指数(CPI)は2.7%で前月の2.9%からやや鈍化しているが、中国からの輸入品に関税をかけたことで、今後のインフレ率上昇が予想される。FRBもタカ派的な姿勢を強めるだろう。4回目の利上げを織り込む形でドル高が進みそうだ。一方、NY金は下落が予想されるものの、1200ドル割れではショートカバーが先行すると思われる。ドル円は円安に振れることが予想され、東京金は堅調に推移しそうだ。4300円台で値固めして4400円台を目指す展開を予想する。

tkg0919

*東京金予想レンジ:4280~4380円。


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。