【南アランド円相場、先週の動き・今週の展望】
*先週の南アランド円は上昇した。ラマポーザ大統領が国連で「ランドは過小評価されている」「ランドは経済回復軌道を支えるだろう」と述べたことが好感された。また、新興国通貨下落の引き金となったトルコのエルドアン大統領が「トルコ中銀は独立している」「利上げは中銀の独立性の表れ」と述べたことで、トルコリラが反発したことも支援要因となった。

7月景気先行指数は105.4(前回107.1)とやや弱まった。8月生産者物価指数前年比+6.3%(前回+6.1%、予想+5.9%)と前回よりも悪化した。生産者物価指数の結果は、3か月後に消費者側に反映される見込みで、10月消費者物価指数(CPI)が上昇する可能性が高まった。南アランド円は、1カ月半ぶりに8円台を回復した。

*今週の南アランド円は、保ち合いとなりそうだ。ラマポーザ大統領は21日、数十億ドル規模の景気刺激策を発表した。低迷する同国経済を立て直すとの公約を果たすため、雇用創出とインフラ開発に資金を振り向ける。ラマポーザ大統領は、政府は自由に使える資金をより有効活用する必要があると指摘。また、歳出や借り入れを増やす余地はないと強調した。政府は500億ランド(約35億ドル)規模の「優先順位を見直した歳出と、事業単位の新たな資金拠出」を経済成長促進と雇用創出に充てる。4000億ランド規模の「中期」インフラ基金も創設する。大統領は「景気刺激・回復計画の中心的要素は、歳出の優先順位を変更して経済的影響が最も大きい活動に資金を振り向けることだ」と説明した。ただ、この景気刺激策について、ムーディーズ、フィッチなどの格付け会社は、あまりにも規模が小さく経済効果が小さいといずれも否定的な見解を出していることもあり、景気低迷下の通貨高には限界があろう。

南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)が25日公表したデータによると、第2四半期の同国の対内証券投資は166億ランド(11億6000万ドル)で、第1四半期の894億ランドから急減した。買越額は債券が469億ランドから38億ランドに、株式が425億ランドから128億ドルにそれぞれ減った。トルコやアルゼンチンの通貨危機をきっかけに、投資家の間で新興国市場のリスクを敬遠する動きが広がったことが反映された。また与党アフリカ民族会議(ANC)が土地強制収用の加速を計画していることも不安を誘った。中銀データでは、第1四半期末の南アの対外債務は2兆1650億ランドとなり、主にランド建て債務の増加により、昨年末の2兆1300億ランドを上回った。

【南アフリカ経済指標】
1日月曜日
18:00 9月製造業PMI前回43.4

5日金曜日
15:00 9月外貨準備高[Gross]前回498.0億USD

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*予想レンジ:7.90円~8.20円


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