【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、上値の重い展開になりそうで、株価動向次第ではリスク回避の円買いが進む可能性があろう。週明け8日の日米の外国為替市場はそれぞれ休場だった。ロンドン市場では、世界的な株安が嫌気されて安全資産とされる円が買われ、113円台前半に下落した。大型連休明けの中国市場で株価が急落し、イタリアでは財政不安が再燃したため、欧州の主要株価指数が軟調となり、リスク回避モードが強まった。

先週のドル円は、好調な米国経済を背景にした米10年債利回りが3.2%台に上昇し、政策金利が中立金利水準である3.0%を超える可能性が米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長から示唆されたことから11ヶ月ぶりに114円50銭台まで上昇した。市場は、昨年11月の高値114円73銭を超えることができるかどうかに注目しており、明確に上抜ければ115円台定着が期待される。

しかし、上抜けできなければ従来の110─115円のレンジで推移することになるだろう。ここまでドルが上昇してきた背景には、FRBによる金融政策の正常化、米中貿易戦争に対するリスク回避のドル買い、トランプ政権の減税を受けた好調な米国経済と米国への資金還流(レパトリエーション)、堅調なNYダウ等がある。

米中貿易戦争に関しては長期化が予想される一方で、政策金利に関しては2020年でピークを迎えることが示唆された。米長期金利はすでに3日に2014年秋以降上限となってきた「3.25%の壁」を突破し、4年3カ月ぶり高水準へ上昇した。米金利の上昇はしばらく続くとの見方が強まってきたが、株価への影響が懸念される状況になってきた。株価下落の要因となれば、一転して円高圧力が強まるだろう。

さらに11月6日には米中間選挙が控えており、共和党が劣勢と伝えられる中、トランプ政権は通商協議で成果を求めている。トランプ大統領は7月中旬にドル円が113円半ばに上昇したときにドル高牽制をツイッターで発信したが、現状の水準ははるかに当時を上回っており、市場の警戒感は高まってくるだろう。トランプ大統領はかねてよりドル安・低金利が望ましいと主張してきた。トランプ大統領の脱税疑惑やロシアゲート疑惑の深刻化、カバノー連邦最高裁判事候補に対する米連邦捜査局の調査等はトランプ政権に対する懸念材料であり、ドルの重石となろう。

中国は、米中貿易戦争の激化を受けて米国債の売却に動き出しているようだ。7月の中国による米国債の保有残高は1兆1710億ドルと、半年ぶりの低水準まで減少した。また、人民元はこの半年間でドルに対して9%ほど下落し、アジア通貨の中でも下げが大きい。貿易を巡り米国との緊張が激化する中、中国当局が意図的に元安に誘導しているとの観測が強まっている。

米財務省は来週、半期に一度の為替報告書を来週公表する予定で、中国が為替操作国と認定される可能性が高まっている。この動きに関連してドル円も現状の水準はドル高と認識されそうだ。10日には3年債360億ドルと10年債230億ドル、11日には30年債150億ドルの入札が予定されている。好調であれば、金利低下・株価上昇・ドル高、逆に不調であれば金利上昇・株価下落・ドル下落という展開が想定される。

*CFTC建玉10月2日時点:ファンドのドル買い・円売りは11万4046枚(前週比+2万9327枚)と増加した。総取組高は25万2277枚と前週比3万6901枚の増加。

cftc1009

<今週の主な経済指標>
10日は米国9月生産者物価指数(PPI)、11日は米国9月消費者物価指数(CPI)、12日は10月ミシガン大学消費者信頼感指数。

yen1009

*予想レンジ:112.00円~114.00円


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。