【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は反発した。トルコのアルバイラク財務相は9日、通貨リラ安に伴うインフレ対策として、小売りなどの企業が「年末まで最低10%の値下げを実施する」キャンペーンを開始すると発表した。8月以降に実行された融資を対象に各銀行が金利を10%下げ、電力や天然ガス料金の引き上げは年末まで凍結する。閣僚が大手スーパーなどに電話をかけて協力を要請しており、政治的圧力を使ってインフレ退治を演出する。

しかし、市場はこの効果を疑問視したようだ。10日、トランプ政権は、トルコで拘束されている米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏が12日に予定されている同国裁判所での審理で釈放されることに期待を表明した。これを受けて米国との関係が改善するとの見方が強まり、トルコリラは反発に転じた。

*今週のトルコリラ円は、保ち合いで推移しそうだ。トルコ中銀は9月、リラ安に歯止めをかけるため、6.25%の大幅利上げを実施した。市場予想以上の利上げとなり、一時的にリラ安が納まった。しかし、9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比約25%上昇し、約15年ぶりの高い伸びを記録し、予想を大きく超える伸びとなったことで、市場は再びリラ下落を懸念し始めた。通貨リラは年初来で4割も下落し、通貨危機が経済や消費者に強い影響を及ぼしていること裏付けられた。エルドアン大統領はかねてより、金利引き上げを牽制しており、トルコ中銀がインフレを抑制するためにこれ以上の利上げを行わないのではとの懸念が強まったからだ。インフレ急伸が確認されたのを受けて、アルバイラク財務相は、インフレへの対応策を発表したが市場の反応は芳しくなかった。トルコが米国人牧師ブランソン氏を解放したが、この背景には、経済低迷に苦しむエルドアン政権が、米国との関係改善に期待を寄せている事情がありそうだ。両国関係の改善が好感されれば、リラが安定する可能性もある。

トルコ中央銀行が11日公表した統計によると、同行5日時点の外貨準備高は662億9000万ドルとなり、前年同期の936億5400万ドルから3分の1近く減少した。国内地方銀行が保有する外貨は、5日時点で1534億3000万ドルと、前週の1543億6000万ドルから減少した。8月のトルコ経常収支は25億9200万ドルの黒字となり、2015年9月以来、約3年ぶりに黒字に転じた。前月の経常収支は17億7800万ドルの赤字、2017年通年では471億ドルの赤字だった。8月の貿易赤字額は、自国通貨リラの下落で輸入が減少したことを反映し、前年同月比で59%減少した。


【トルコ経済指標】
15日月曜日
16:00 7月失業率前回10.2%

16日火曜日
16:00 8月鉱工業生産前年比前回+5.6% 予想+1.0%
20:30 8月住宅価格指数前年比前回+10.48%

10月19日金曜日
16:00 9月住宅販売前年比前回-12.5%

lira1015

*予想レンジ:17.50円~19.50円


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