【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、堅調に推移しそうだ。週明け22日の東京市場のドル円は、始りは軟調だったものの、前週末に中国当局が発表した株価支援措置が好感され上海総合指数が4%を超える上昇となったことを受けて112円65銭まで上昇した。日経平均も下落から切り返しドル円を押し上げた。支援措置は、プライベートエクイティ(PE)ファンドによる上場企業の株式取得の奨励、企業の合併・買収(M&A)の承認加速、自社株買いの支援などが柱。

同時に、個人所得の課税控除に関する新規則草案も公表し、内需の下支えが期待されている。また、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が、アルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の際に会談することで暫定的に合意し、11月29日に行う方向で調整中との報道もリスク回避姿勢を和らげたようだ。一方、サウジアラビア政府を批判してきたサウジ人記者がトルコのサウジアラビア総領事館で死亡した事件では、週末にトランプ大統領がサウジアラビアに対する制裁を示唆したことや、米国が旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力廃棄条約の破棄を表明したことはリスクオフ要因として懸念されており、ドルの上値を抑えている。

強弱材料が対立し、方向感が定まりにくいが、急落したNYダウが持ち直していることから、株価動向に左右される展開になりそうだ。米国の良好な経済指標を反映して米長期金利は3.2%前後で高止まりしているが、これが株価の重石になってくれば、ドル円の上値は抑えられよう。

G20における米中首脳会談が期待されているが、米財務省が17日に発表した為替報告書では、中国の為替操作国認定こそ見送ったものの、最近の人民元安に強い懸念を表明し、今後6カ月は監視を続けて認定結果を検証すると明記していることから、米中関係の緊張は継続しそうで、安心はできない。今月4日にペンス副大統領は、中国が「政府全体で政治・経済・軍事的手段およびプロパガンダを駆使し、米国内で自国の影響力を強め、利益を得ようとしている」とし、激しく非難した。

さらに、イタリアの政治情勢や英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題などが拗れれば、株安要因になる可能性があり、ドル買いにも限界があろう。なお、為替報告書で日本に対しては、大幅な対日貿易赤字が続いていることを引き続き懸念しているとした。

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*CFTC建玉10月16日時点:ファンドのドル買い・円売りは10万0621枚(前週比-1万4580枚)と減少した。総取組高は21万1210枚と前週比4万2164枚の減少。


<今週の主な経済指標>
21日は9月シカゴ連銀全米活動指数、24日は5米国10月製造業PMI、米国9月新築住宅販売件数、25日は欧州中央銀行(ECB)政策金利、新規失業保険申請件数、26日は米第3四半期GDP。

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*予想レンジ:111.50円~113.50円


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