【東京金は、そろそろ上値が重くなりそう】    
*先週のNY金は軟調に推移したが、週の終値は1230ドル台を維持した。これといった決め手となる材料がなく方向感が出にくかったようだ。債務問題が懸念されていたイタリアは、格付け会社S&P社が同国の公的債務格付けを据え置いたことから、リスク回避姿勢が後退した。ドイツのメルケル首相の退任報道はユーロ売り・ドル買い要因となり、ドル建て金は割高感から売られた。米中貿易戦争に関しては、11月末からの20カ国・地域(G20)首脳会議で予定されている米中首脳会談が不調に終わった場合、トランプ政権は対中制裁関税の第4弾を12月初旬にも表明する方針と報道された。

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ただその後、トランプ大統領は、中国との間で合意に至らなかった場合には新たな制裁を課すと警告しながらも、通商面で「素晴らしい合意」に至ると思うと強調。過度の懸念が和らいだ。2日に公表された10月米雇用統計が予想以上に良好だったことから、米長期金利は3.2%台に急反発し、ドルが上昇したため、金は売りが優勢となった。米景気は好調で、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続する可能性が高いとの見方が強まり、金利を生じない金には逆風になった。ただ、6日の米中間選挙を控えて売りも限定的だった。テクニカル的には1250ドルが上値抵抗線となっており、上値が重く、調整場面の保ち合いが続きそうだ。金ETFも増加が一服している。

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*NY金予想レンジ=1200~1250ドル

*CFTC建玉10月30日時点:ファンドの白金買い越しは1万4723枚(前週比+3061枚)と増加。総取組高は7万5001枚と前週比+565枚の増加。

*先週の東京金は上昇した。強材料と弱材料が入り混じる中、NY金は保ち合いが続いているが、東京金は為替の円安が追い風となって下値を切り上げている。注目された6日の米議会中間選挙では、市場の予想通り「上院は共和党、下院は民主党」となった。トランプ大統領と対立する野党民主党が下院で8年ぶりに多数派を奪還した。「ねじれ議会」で党派対立が一層激化し、政局が緊迫する可能性があり、トランプ大統領の政策や公約実現が困難になる可能性が高い。この結果を受けて、NY金電子取引は4ドル程度反発している。トランプ大統領当選時のような高揚感はなく、トランプ相場にも陰りが出てこよう。NYダウの地合いが軟化すれば、リスク回避の金買いが入りやすくなるだろう。

10月30日にボストンで開催されたロンドン地金市場協会(LBMA)の年次会合では、金価格は来年10月までに1オンス=1532ドルに上昇する見通しが示された。世界の株式市場が不安定になる中で、安全資産としての金への関心が再び高まるだろうと見通した。なお、ロイター通信が今月アナリストやトレーダーを対象とした調査によると、2019年の金価格は平均で1300ドルと予想されている。東京金は4500円、200日移動平均線に接近しており、このあたりで上値が重くなる可能性があり、調整局面入りが予想される。ただし、4380円レベルでは50日と100日の移動平均線にサポートされる可能性があり、押し目のポイントになりそうだ。CFTCではファンドの買い越しが続いていることがわかるが、12月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを控えて、ポジションの拡大は押さえられそうだ。

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*東京金予想レンジ:4380~4500円。


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