【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は上昇後に反落に転じ、前週比マイナスで引けた。週明け5日、トルコが、イラン制裁の適用除外の対象となったことが好感され、トルコリラ円は21円台に上昇した。また、米議会中間選挙前にドルが売り戻されたこともトルコリラを押し上げた。

10月トルコ消費者物価指数(CPI)が前年同月比25%上昇した。15年ぶりの高い伸びで、通貨危機が広範な経済活動に影響を及ぼしていることが浮き彫りになった。前月比では2.67%上昇し、市場予想(2.0%上昇)を上回った。衣服・靴が前月比12.74%上昇したほか、住宅は4.15%の上昇だった。生産者価格は前月比0.91%上昇。前年同月比では45.01%の大幅な上昇だった。

欧州連合(EU)がトルコのEU加盟交渉を支持したため、トルコとEUとの関係改善が期待された。ただ、エルドアン大統領は、この件に関して、国民党票を行うことを検討しているとした。米議会中間選挙は「上院が共和党・下院が民主党」と想定内の結果となり、再び「ドル買い・トルコリラ売り」が優勢となった。

*今週のトルコリラ円は上値の重い展開が続きそうだ。米国との関係が改善していることから、トルコリラは通貨危機という最悪期は過ぎ去ったようだが、経済への悪影響が向こう数四半期に顕在化する恐れがある。依然としてインフレ率は高く、トルコ中銀は今後も利上げを考えざるをえない。一方、急激な金利上昇は再び通貨安を招く可能性があり、トルコリラには困難な局面が続きそうだ。

トルコの2桁のインフレ率と金利の急上昇、銀行融資の抑制が家計の購買力や個人消費の重石になる公算が大きい。先進国と新興国全般で成長が減速する状況ではリラ安と金利上昇がトルコ経済を圧迫しよう。一方、金利上昇に関しては、エルドアン大統領が牽制する姿勢を見せる可能性があり、中銀の独立性に懸念がもたれれば、海外投資資金の流出を招く可能性が出てくる。

【トルコ経済指標】
12日月曜日
16:00 9月経常収支前回+25.9億USD、予想+19.4億USD

15日木曜日
16:008月失業率前回10.8%、結果11.2%


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*予想レンジ:19.00円~21.00円


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