11月29日(木)
【11月28日の海外相場および市況】
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*28日のNY外国為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの早期打ち止め観測が浮上する中、円買い・ドル売りが進行し、113円台半ばから後半に反落した。113円63〜73銭。パウエルFRB議長はこの日の講演で、米国経済の底堅い成長を理由に12月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに動く可能性を示唆する一方、政策金利が景気を過熱も冷やしもしない「中立金利」に近づいていると言及し、利上げの停止時期が近いことも示唆した。この発言を受けて「FRBの利上げペースは大幅に鈍化する」との認識が広がり、ドル円は大幅に売られ、一時113円45銭まで下落した。ただ、翌29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表が予定されているほか、11月30日〜12月1日には20カ国・地域(G20)首脳会議、それに合わせて米中首脳会談も開かれる見通しであるため、次第に様子見姿勢も強まった。

7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率3.5%増加し、速報値と変わらずだった。一方、10月の新築一戸建て住宅販売は前月比8.9%減の54万4000戸で、2016年3月以来の低水準となった。借り入れコストや住宅価格の上昇で買い手控えが広がったようだ。


*28日のNY金は、米利上げの早期打ち止め観測の台頭を受けて買われ、4営業日ぶりに反発した。1223.60ドル(+10.20)。2018年7〜9月期の実質GDP(国内総生産)改定値は年率換算で前期比3.5%増と速報値から据え置かれたため、相場の反応は乏しかった。パウエルFRB議長の講演テキストが公表されると、相場は急伸。同議長は、米国経済の底堅さを理由に12月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ決定に前向きな姿勢を示す一方、政策金利が景気を過熱も冷やしもしない「中立金利」に近づいていると言及、利上げの打ち止め時期が迫っていることを示唆した。これを受け、外国為替市場ではドルの対ユーロ相場が急落。ドル建て金に割安感が生じるとともに、利上げ局面の早期終了は金利を生まない資産である金にはプラスとの見方が広がり、一時1227.70ドルまで上昇した。NY白金は続落。826.30(-9.00)。


*28日のNY原油は、米国内の在庫積み増しを嫌気した売りに押され、続落した。50.29ドル(-1.27)。2017年10月上旬以来約1年2カ月ぶりの安値となった。米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した週間在庫統計によると、23日までの1週間の米原油在庫は前週比360万バレル増と、積み増し幅は市場予想の80万バレルを大幅に上回った。また、ディスティレート(留出油)在庫は90万バレルの取り崩し予想に反して260万バレル増と大幅な積み増し。在庫増は製油所の保守点検シーズンが一因だが、米産油量も過去最高の日量1170万バレルに急増した。供給過剰懸念が再燃し、一時50.06ドルまで下落、50ドル割れが目前に迫った。ウィーンで来週開かれる石油輸出国機構(OPEC)総会に先立ち、20カ国・地域(G20)首脳会議でもサウジアラビアとロシアが有力産油国の協調減産について協議する可能性がある。ロイター通信によると、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とナイジェリアのカチク石油相はこの日アブジャで会談。ファリハ氏はサウジ単独での減産は行わない意向を表明した一方、カチク氏は情勢不安を理由に減産が免除されているナイジェリアが協調減産に参加するかどうかを示唆するのは時期尚早との見解を示したという。

*28日のシカゴトウモロコシは上伸。360.50セント(+4.00)。ドル安と大豆高が支援材料。
シカゴ大豆は続伸。890.50セント(+15.00)。一時、15日以来の高値となる895.00セントを付けた。

*28日のNYダウは、利上げ局面の終了時期が近づいていることを示唆したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を好感し、大幅続伸した。2万5366.43ドル(+617.70)。パウエルFRB議長は講演で「政策金利は景気を過熱も冷やしもしない中立金利を若干下回っている」と述べ、利上げの停止が近づいていることを示唆した。これを受け、市場では「来年の利上げ回数は9月時点の見通しである3回から2回に減り、その後の利上げは打ち止めとなる」との見方が広がり、株価上昇に拍車が掛かった。また、アルゼンチンで開催する20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて予定される米中首脳会談では、通商摩擦で双方の歩み寄りがあるとの見方も支援要因となった。もっとも首脳会談が不調に終われば、トランプ政権は対中制裁関税を新たに発動する可能性が高い。


【29日の経済指標】
08:50   (日) 前週分 対外対内証券売買契約等の状況(対外中長期債) 
08:50   (日) 前週分 対外対内証券売買契約等の状況(対内株式) 
08:50   (日) 10月 小売業販売額 [前年同月比]  2.1% 
09:00   (NZ) 11月 NBNZ企業信頼感  -37.1   
09:30   (豪) 7-9月期 四半期民間設備投資 [前期比]  -2.5%   
15:00   (南ア) 10月 マネーサプライM3 [前年同月比]  7.00%   
17:55   (独) 11月 失業者数 [前月比]  -1.1万人   
17:55   (独) 11月 失業率  5.1%   
18:30   (英) 10月 消費者信用残高  8億ポンド   
18:30   (英) 10月 マネーサプライM4 [前月比]  -0.3%   
18:30   (英) 10月 マネーサプライM4 [前年同月比]  0.9%   
18:30   (南ア) 10月 卸売物価指数(PPI) [前月比]  0.5%   
18:30   (南ア) 10月 卸売物価指数(PPI) [前年同月比]  6.2%   
19:00   (欧) 11月 経済信頼感  109.8   
19:00   (欧) 11月 消費者信頼感(確定値) 
22:00   (独) 11月 消費者物価指数(CPI、速報値) [前月比]  0.2%  
22:30   (米) 10月 個人消費支出(PCE) [前月比]  0.4%   
22:30   (米) 10月 個人所得 [前月比]  0.2%  
22:30   (米) 10月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く) [前月比]  0.2%   
22:30   (米) 前週分 新規失業保険申請件数  
24:00   (米) 10月 住宅販売保留指数 [前月比]  0.5%   
28:00   (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 


第191回 『おしえて陳さん』 
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