【ドル円相場、今週の展望】
*年末・年始のドル円は、下落基調が強まる可能性があり注意が必要だろう。週明け24日のNY市場は、米政局の先行き不透明感などを背景に投資家のリスク回避姿勢が強まり、ドル円は110円台前半に下落した。米連邦政府の暫定予算が22日に失効し、政府機関の一部が閉鎖に追い込まれた問題をめぐり、議会与野党の対立が解けないまま閉鎖が長期化すれば米経済に悪影響が及ぶのではないかとの懸念が広がった。

政府機関の閉鎖懸念のほか、世界的な景気減速への警戒感もドル円を圧迫。ムニューシン米財務長官が23日、米金融大手6社の首脳と協議し、「首脳らが融資のための十分な流動性を確保していることを確認した」との声明を発表したが、市場はむしろ流動性への不安を強め、リスクオフに拍車がかかった。世界的な景気減速懸念や米政府機関の一部閉鎖長期化の可能性を背景にNYダウは、4営業日大幅続落し、2万1792.20ドル(-653.17)で引けた。2017年9月以来の安値に落ち込んだ。

トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の解任を議論しているとの一部報道も市場のリスクオフモードを強めた。トランプ大統領はツイッターで「米経済が抱える唯一の問題がFRBだ」と投稿した。25日はクリスマスで欧米市場が休場、26日はボクシングデーで英欧市場が休場となり、年末・年始を控えて市場参加者が減少する中、複数の悪材料が懸念されリスクオフモードが強まっている。米5年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」現象が出現し、2年債利回りと10年債利回りがフラット化してきたことから、米国経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性があるのではないかとの警戒感が市場で高まっている。

これに加えて、議員がクリスマス休暇に入っていることから、米国の一部政府機関の閉鎖は、下院の議会が始まる1月3日まで持ち越しになると見られている。トランプ大統領は、上院が可決した2019年2月8日までのつなぎ予算がメキシコ国境の壁建設費用50億ドルを含んでいないとして拒否権を発動すると警告しており、クリスマス休暇明けもトランプ政権と民主党の攻防は着地点が見えてこない。米中貿易戦争の再燃の可能性、米ねじれ議会により減税第2弾や債務上限引き上げ協議が難航する可能性はさることながら、日本にとっては、2019年1月に始まる日米通商協議が懸案事項になりそうだ。

米通商代表部(USTR)は21日、2019年にスタートが予定されている日米通商交渉の対日要求事項を正式に公表した。年間7兆円の対日貿易赤字を削減するため、自動車や農産品、サービスから為替に至る包括的な交渉を進めるとしている。対日貿易赤字の過半を占める自動車について、米国での「現地生産拡大」を要求。為替操作の予防も求めており、為替は通商交渉の対象外としてきた日本が従来方針を貫くことができるか注目される。市場でもこの交渉が反映されてドル安・円高基調が強まりそうだ。
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*CFTC建玉12月18日時点:ファンドのドル買い・円売りは10万2771枚(前週比+5165枚)と増加した。総取組高は21万4868枚と前週比1813枚の増加。

<今週の主な経済指標>
24日は11月シカゴ連銀全米活動指数、25日はクリスマス休日、27日は新規失業保険申請件数、米国12月消費者信頼感指数、28日は米国11月中古住宅販売。


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*予想レンジ:109.00円~112.00円


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