【ドル円相場、今週の展望】
今週のドル円は、上値の重い展開になりそうだ。週明け7日の東京市場のドル円は、先週末の海外市場で反発した流れを受け、朝方は108円台半ばで推移していたが、次第に戻り売りが強まり108円台前半に反落した。NYダウの大幅上昇を受けて日経平均株価も500円以上値上がりしたにもかかわらず、ドル売りが優勢となった。

12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2019年の利上げ回数は2回と示唆されたが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、データー次第では利上げゼロの可能性を示唆した。しかし、12月米雇用統計が予想以上に良好だったことで、今年の利上げ回数が2回になる可能性が高まった。

一方で、アトランタで先週末開催された米経済学会(AEA)年次総会討論会では、パウエルFRB議長は、世界的な株安について「市場が発するリスクを注視し、今後の政策運営で考慮する」と述べ、利上げ路線を見直す考えを示唆した。強弱入り混じる状況だが、政府機関の閉鎖が依然として続いているため、ドル売りが優勢となっているようだ。

トランプ大統領は、議会の承認なしでメキシコ国境に壁を建設するため国家緊急事態を宣言する可能性を改めて示した。国家緊急事態が宣言された場合、民主党議員は法的な異議を申し立てる構えであり、米議会の混乱が嫌気され、ドル売りが強まる可能性がある。

一方、7、8日には米中次官級の通商協議が中国で開かれる。トランプ大統領と習近平国家主席が12月1日の会談で90日間の休戦に合意して以降、両国初の直接協議となる。米中貿易協議では知的所有権、農業、工業製品の輸入などが議題に上る予定で、トランプ大統領は、交渉は非常にうまくいっているとツイートした。今月下旬にはトランプ大統領と王岐山副主席がダボスで会談する可能性もあり、交渉が順調に進展すればドルをサポートしよう。

なお、米金融大手のゴールドマン・サックスは、ドルは今後下落に向かうとの予想をたてた。12月ISM製造業景況指数が54.1と、2年ぶりの水準に低下した。新規受注はほぼ5年ぶりの大幅低下となり、生産は2012年初め以来の低下となった。世界的に製造業が低迷する中、米国経済に成長減速の兆候が示されたことに加え、パウエルFRB議長のハト派的発言から、ドルには一段と下振れる余地が生まれているとした。


<今週の主な経済指標>
7日は月米12月ISM非製造業景況指数、8日は米11月貿易収支、9日は12月FOMC議事録公表、10日はパウエルFRB議長発言、11日は米12月消費者物価指数、米12月財政収支。

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*予想レンジ:107.00円~109.50円


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