【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。トルコ中銀が市中銀行のリラ建て預金準備率を引き下げたことを受けて、金融緩和の前触れではないかとの見方が広がり、売りが継続したようだ。トルコ中銀は16日、リラ建て預金準備率を100ベーシスポイント(bp)引き下げた。

一方、トルコ中銀のチェティンカヤ総裁は、中銀が今後市場の変動を和らげるための流動性供給措置を講じるかもしれないが、それは引き締め的な政策運営の転換と受け止めるべきではないとの考えを示した。格付け会社S&Pグローバル・レーティングは15日、トルコの格付けを据え置き、見通しを「安定的」で維持した。ただ、銀行システムの緊張のリスクが高まったと判断した場合、格付けを引き下げる可能性があるとした。

*今週のトルコリラ円は、保ち合いで推移しよう。3月の地方選挙でエルドアン大統領率いる公正発展党(AKP)がどれだけ議席を保てるかどうかが注目されよう。エルドアン大統領が本格的な選挙運動を開始した。地方都市デニズリでは、トルコ国民が嫌う国際通貨基金(IMF)支援を否定した。また、野党のCHP、IYI、HDP、SP党に関して、反政府派ギュレン氏やPKK(クルド人テロ組織)によってコントロールされていると述べた。

2018年第3四半期のトルコの成長率は前年比1.6%と、2年ぶりの低水準だった。格付け会社S&P社は第4四半期と今年第1四半期の成長率がマイナスになると予想している。同社は、19年以降の成長見通しは改善する可能性があるとの見方も示した。 一方、銀行システムの緊張のリスクが高まり、国家財政が悪化する恐れがあると判断した場合、格下げの可能性があるとした。昨年の通貨危機では企業の財務が打撃を受け、銀行セクターで懸念が高まった。

S&Pは「今のところ当局は銀行資産の質が悪化した場合の対応について具体策を示していない」とし、通貨危機への対応は「組織的で一貫したものというより、その場しのぎになっている」と指摘した。また、格付け会社S&Pグローバルのアナリストは、トルコリラは向こう3年間は継続的に下落すると予想。トルコの銀行不良債権比率は向こう1年間で8%に倍増するとの見通しも示した。


【トルコ経済指標】
27日水曜日
16:00 2月経済信頼感前回78.5

28日木曜日
16:00 1月貿易収支前回-26.7億USD

3月1日金曜日
16:00 2月製造業PMI前回44.2

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*予想レンジ:19.50円~21.50円