3月4日(月)
【3月1日の海外相場および市況】
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*週末1日のNY外国為替市場では、米長期金利の上昇などを背景に円売り・ドル買いが進行し、昨年12月下旬以来約2カ月ぶりに一時112円台に上昇した。111円87~97銭。2018年10~12月期米実質GDP(国内総生産)が年率換算で前期比2.6%増と、市場予想の2.3%増を上回ったことを背景にドル買いが継続。また、米通商代表部(USTR)が前日、3月1日に設定されていた米中両国による貿易協議の期限を延長すると正式に発表し、交渉の先行きに楽観的な見方が広がったこともドル買い要因となった。米長期金利の上昇もあって、一時112円08銭まで上昇した。一方、2月ISM製造業景況指数が16年11月以来、2年3カ月ぶりの低水準に落ち込んだが、相場への影響は限定的だった。

*米国と中国は通商合意に関して最終段階に入っており、合意の一環として米国の対中関税の全て、もしくは大半が撤回される可能性が強い。協議に詳しい関係者2人が明らかにした。中国側は米国との最近の協議で、中国製品2000億ドルを対象とした関税の撤回がいかなる通商合意の決着にも必要だと明確にした。

*「私は強いドルを好むが、米国に素晴らしく作用するドルが望ましい」。トランプ大統領はドル相場が強過ぎると演説で発言。さらに名指しはしなかったものの、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を「FRBには量的引き締めを愛し、非常に強いドルを好むジェントルマンがいる」として批判した。

*本日の東京外国為替市場のドルの対円相場は、111円台後半で上値の重い展開が見込まれる。週末のトランプ大統領のドル高牽制発言が重石となり、目先は売りが出やすくなりそうだ。ただ、米中通商協議の進展への見通しや昨年10〜12月期の実質GDPが良好だったことから、下値は限られる見通し。予想レンジは111円60〜112円10銭。

*スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1日、メキシコの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。格付け自体は投資適格級の「BBBプラス」を維持したものの、債務増大や景気減速に伴って財政運営が苦しくなっているため、向こう1年で格下げされる確率が33%前後あるとの見方をしている。S&Pは、ロペスオブラドール大統領が率いる左派政権がメキシコのエネルギー部門における民間の果たす役割を減らし、国営石油会社ペメックスの支援に向けた歳出を拡大していることが、財政を巡る懸念を高めていると指摘。財務基盤の弱いペメックスにエネルギー部門でより積極的な役割を与えれば、財政への不測のしわ寄せが大きくなりかねないと警告した。
 
*トルコリラは対ドルで約1%下落。インフレを巡る経済指標や低金利の銀行融資などに対する懸念が出ていることに加え、米国債利回りが上昇する中、新興国通貨全体が軟調となっていることが背景。市場の新興国通貨全体に対する投資心理が悪化している。特に高利回りの新興国通貨が影響を受けているようだ。パトリオットミサイル防衛システムを2019年末までに納入するとの米国の提案をトルコが拒否したと報道


*週末1日のNY金は下落。1299.20ドル(-16.90)。1月28日以来の1300ドル割れとなった。2月28日に発表された18年10~12月期米国内総生産(GDP)伸び率が予想を上回ったことで、米国債利回りが上昇し、利子を生まない金には売りが継続している。この日は米通商代表部(USTR)が前日、3月1日に設定されていた米中両国による貿易協議の期限を延長すると正式に発表したことを受け、交渉の先行きに楽観的な見方が広がる中、この日は欧州やアジアの主要株価がほぼ全面高。また、2018年12月米個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比1.7%上昇と1年2カ月ぶりの低い伸びとなり、市場予想の1.9%上昇も下回ったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ停止観測が一段と強まり、NYダウも上昇し、安全資産とされる金は売りが優勢となった。一方、この日発表された2月ISM製造業景況指数が16年11月以来、2年3カ月ぶりの低水準に落ち込んだが、相場への影響は限定的だった。

白金は6日ぶりに反落。863.70ドル(-11.50)。パラジウムは続伸。1506.10ドル(+4.60)。

*週末1日のNY原油は約2%下落。55.80ドル(-1.42)。石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産やベネズエラ、イランに対する米国の制裁より、米製造業に関する経済指標の弱さが重視され、需要の伸びをめぐる不安が広がった。ただ、2月のOPEC産油量は4年ぶりの低水準。OPEC加盟国による需給均衡に向けた協調減産の動きが好感され、相場の下値も限定的だった。米サプライ管理協会(ISM)が発表した2月の国内製造業景況指数は16年11月以来の低水準に悪化し、市場予想を下回った。これを契機に、石油需要が世界的に減退することへの警戒感が深まった。ロイターによると、2月のOPEC産油量は前月比30万バレル減の日量3068万バレルで、15年以来の低水準に落ち込んだ。OPECは供給過剰の削減に取り組んでいるが、需要が減退すれば取り組みが帳消しになる可能性もある。石油サービス会社ベーカー・ヒューズが公表したこの日までの1週間の石油掘削リグ稼働数は、前週比10基減の843基と、18年5月以来の低水準にとどまった。


*週末1日のシカゴトウモロコシは5日ぶりに反発。373.00セント(+2.25)。一時約5カ月ぶり安値を付けたものの、切り返した。INTL・FCストーンは1日、ブラジルの2018~19年度トウモロコシ第2作の収穫高を6580万トンと推定。これまでの6490万トンから上方修正した。

シカゴ大豆は反発。911.50セント(+1.25)。2カ月ぶり安値に下げた後、上昇に転じた。米中貿易合意が引き続き期待されている。他国産大豆との競争への懸念が上値を抑えた。INTL・FCストーンは1日、ブラジルの2018~19年度大豆の推定収穫高を1億1302万7000トンと発表。2月時点の1億1219万5000トンから上方修正した。

*週末1日のNYダウは、米中貿易協議の早期合意への期待から4日ぶりに反発した。2万6026.32ドル(+110.32)。1日の中国株式市場では上海総合指数が大幅上昇。米MSCIが前日、新興国株指数に採用している中国本土株の組み入れ比率の引き上げを発表したことが支援材料。欧州株も軒並み上昇し、NYダウは一時220ドル余り上昇した。米中協議の進展への期待感も支えになった。トランプ政権は2月28日、3月1日に設定された貿易協議の期限を延長すると正式発表。2日に予定していた対中制裁関税の引き上げは先送りされた。ブルームバーグ通信は、米中首脳会談が早ければ3月半ばにも開催される見通しと報じた。ただ、2月ISM製造業景況指数が16年11月以来、2年3カ月ぶりの低水準に落ち込み、上げ幅を急速に消す場面もあった。

【4日の経済指標】
09:30   (豪) 1月 住宅建設許可件数 [前月比]  -8.4%  1.5% 
09:30   (豪) 1月 住宅建設許可件数 [前年同月比]  -22.5%  -28.9% 
16:00   (トルコ) 2月 消費者物価指数(CPI) [前月比]  1.06%  0.40% 
16:00   (トルコ) 2月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  20.35%  19.90% 
18:30   (英) 2月 建設業購買担当者景気指数(PMI)  50.6  50.5 
19:00   (欧) 1月 卸売物価指数(PPI) [前月比]  -0.8%  0.3%
19:00   (欧) 1月 卸売物価指数(PPI) [前年同月比]  3.0%  2.9% 
24:00   (米) 12月 建設支出 [前月比]  0.8%  0.2%


第202回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/