【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、堅調に推移しそうだ。英国は欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」を否決し、離脱の期限を3月29日から6月30日まで延長することを模索している。一方、欧州の主要経済指標は景気回復の遅れを示唆しており、ドルは対ポンドや対ユーロで買われやすい。

また、先週15日開催された日銀金融政策決定会合では、輸出、海外経済、鉱工業生産についての判断が下方修正され、現在の大規模な金融緩和策を維持することを決定した。ドルはユーロやポンド、円に対して買われやすくなっている。今週19-20日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが決定される見込み。20日の会合後に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見では、経済見通しが発表され、利上げを急がない姿勢が表明されるとみられており、ハト派寄りの発言内容になるとの見方が多い。

2月米雇用統計では非農業部門就業者数が大幅に低下したが、季節要因的な影響が大きいと見られている。失業率の低下や平均賃金の上昇などで雇用情勢は改善する反面、消費者物価指数などインフレ率は鈍化しつつあり、経済指標はまちまちの内容となっており、米国の経済成長鈍化が意識されてきている。FOMCの結果判明を受け、追加利上げ期待はさらに後退しそうだ。

また、米中通商協議については3月下旬に予定されていた米中首脳会談が延期されることや、トランプ大統領が「米企業が中国の提携先に技術移転を強制されないようにすることや、米国の知的財産権の全面的な保護について米国側は譲歩することはない」としていることから、協議の難航が予想される。株式市場の重石になればドルは買われにくくなるだろう。

これから開催される日本との貿易協議では、米貿易赤字是正のための「為替条項」導入への思惑から、円が売られにくくなる可能性も高い。それを見越して投機的な円買いが発生する可能性もありそうだ。15日に伝わった「北朝鮮が非核化を巡る米国との交渉について中断を検討」とのニュースは、地政学リスクの上昇を警戒させる新たな懸念材料だ。15日の第一報では相場への影響は限定的だったが、金正恩氏の声明が突如発表される可能性もある。以上を勘案すると、ドルが買われやすい地合いにあるものの、今週のイベントの結果や突発的な要因で急落の可能性もありそうだ。

*CFTC建玉3月12日時点:ファンドのドル買い・円売りは5万8781枚(前週比-7475枚)と減少した。総取組高は19万6766枚と前週比1万0317枚の減少。

<今週の主な経済指標>
19日は米国1月耐久財受注、20日は1月日銀金融政策決定会合議事要旨、FOMC政策金利、21日は3月フィラデルフィア連銀景況指数、米新規失業保険申請件数、22日は米国3月製造業PMI、米2月中古住宅販売件数、米2月財政収支。

cftcyen

*CFTC建玉3月5日時点:ファンドのドル買い・円売りは5万1306枚(前週比+1万1652枚)と増加した。総取組高は20万7083枚と前週比2万0925枚の増加。過去のパターンから見れば、ファンドのドル買い余地はまだあり、ドルの押し目買いが続きそうだ。

yen0318

*予想レンジ:110.00円~113.00円


情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
*チャートの著作権は、㈱ミンカブジインフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、㈱ミンカブジインフォノイドは一切の責任を負いません。