【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。3月消費者物価指数(CPI)は、前月比で+0.39%、と前回-0.03%、予想+0.40%を上回り、伸びが加速した。2月鉱工業生産は前月比0.3%増だったが、前年比は鉱業と建設の伸び鈍化が響いて0.8%減少だった。また製造業の前月比は横ばいにとどまった。鉱工業生産が前月比で増えたことから今年の経済成長率は昨年を上回りそうだとの見方もあってメキシコペソは買いが優勢となった。

*今週のメキシコペソ円は、独自の経済指標発表がないため、米国や中国の経済指標に左右される可能性が高いだろう。15日は4月NY連銀製造業景気指数、16日は3月米鉱工業生産、17日は中国第1四半期実質GDP、3月中国鉱工業生産、3月中国固定資産投資、2月米貿易収支、19日は3月米住宅着工件数が予定されている。特に17日は複数の中国経済指標が出るので注意が必要だろう。また、原油価格の動向にも注意したい。原油相場はリビアの地政学的リスクを背景に一段高が予想される一方で、米国の在庫増加やロシアの増産発言等で上値が重くなってきている。

メキシコ中央銀行が11日に公表した3月28日の政策会合議事要旨によると、政策担当者は、国営石油会社ペメックスが抱える債務問題がマクロ経済の安定を脅かす恐れがあると考えていることが分かった。最近数週間で複数の格付け会社が、ペメックスとメキシコのソブリン格付けは、多額の債務を抱えるペメックスを救済しようという政府の計画によって悪影響を受ける可能性があると警告している。ペメックスの金融債務は約1060億ドルで、中南米の国営石油会社で最も多い。

このため中銀政策委員会の多数のメンバーは、政府が新たなペメックス支援を打ち出すとしても、それは同社の構造問題に対処し、財政赤字を増やさない措置に限定し、ソブリン格付けへの打撃を避ける必要があるとの意見を述べた。マクロ経済については、今年序盤の経済成長は低調な状態が続いていることが入手したデータで判明したとの声が大勢だった。メキシコ中銀は3月28日の会合で、政策金利を2回連続で据え置いた。議事要旨では、多数のメンバーが適切な機会に政策調整を行い、3%の物価上昇目標達成に向けた引き締め的な政策運営を続けていくと語っていたことも明らかになった。

米国、カナダ、メキシコの3カ国が合意した新貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は各国の批准手続きが難航し、年内の成立が困難になりつつあるようだ。米国は2020年に大統領選を控え、カナダも今年10月に総選挙が予定されている。メキシコの元外務次官(北米担当)のアンドレス・ローゼンタール氏は「USMCAは窮地に陥っている」と述べた。協定は最終的に成立するとみているが、米国で民主党や労組が労働者保護の観点から合意内容に反対しているほか、関税を巡る対立もあり、数カ月以内の成立はないとの見方を示した。

カナダとメキシコは米国に対して、昨年導入した鉄鋼などへの追加関税措置の適用除外を求めている。鉄鋼などへの追加関税はUSMCAの対象外だ。メキシコとカナダは問題が解決しないことにしびれを切らしつつあり、メキシコは追加関税が適用されれば報復として、4月末までに標的となる米国製品を新たに増やすと繰り返し警告している。

【メキシコ経済指標】
*特になし。


PESO0415

*予想レンジ:5.85円~6.05円


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