【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は上昇した。米中通商協議の進展に期待が集まる中、南アランド円は8日の南アフリカ総選挙を待つ状況となった。アパルトヘイト(人種隔離政策)を知る高齢者は与党・. アフリカ民族会議(ANC)を支持しているようだが、若者世代は悪すぎる失業率や政権の腐敗に対しANCへの不満を高めている。投票前の世論調査によると野党第1党・民主同盟(DA)が、首都ヨハネスブルグがあるハウテン州でANCを打ち破るため、他の野党と連立する可能性を示唆した。

もしハウテン州で、ANCが破れると、ラマポーザ大統領にとって大きな痛手になるとの見方が強まった。今回の選挙でラマポーザが勝利し、エスコムの危機が回避され、ムーディーズから格下げされなければ、ランドは上昇に転じると予想された。南アフリカ4月景況感指数は93.7、前回91.8、予想91.7と、今年1月以来の最高の数字となった。

*今週の南アランド円は堅調に推移しそうだ。8日投票の南アフリカ総選挙(下院400議席)は10日夕(日本時間11日未明)、95%の開票が終わり、与党アフリカ民族会議(ANC)の得票率は57.73%となった。計算上はANCが半数を割り込む可能性はなくなり、与党の勝利となった。南アの大統領は議会で選出されるため、ラマポーザ大統領(66)の続投が確実になった。議会での再任を受け、ラマポーザ大統領は25日、就任宣誓を行う。開票率95%の段階で、2位は野党・民主同盟(DA)の20.65%。過激な言動で知られるマレマ党首率いる経済的解放の闘士(EFF)が10.51%で3位となっている。

与党アフリカ民族会議(ANC)が第1党を維持することが確実な情勢となり、政策の継続性に期待が高まっている。南アフリカは中国、インド、ロシア、ブラジルとともに有望な成長市場として新興5カ国「BRICS」を結成した。しかし、ズマ前大統領が2018年にスキャンダルで辞任するまで政権を率いた9年間の間に汚職や縁故主義が横行。経済は競争力を大きく失った。ランドの対ドル相場はこの9年間で半分近くまで下がった。成長率は低迷が続き、投資家や企業は南ア離れを加速した。非効率な経済の象徴ともいわれる電力会社エスコムは、ずさんな発電計画から、家庭や工場に十分な電力をとどけられない。

ラマポーザ氏はズマ時代の放漫財政を引き締め、ふたたび経済に活力を取り戻そうとしている。発送電分離など電力改革を通じて、エネルギーの安定供給を実現する改革も視野に入れている。しかし、足元の景気状況はきびしい。南アはアフリカ随一の経済大国だが、近年は景気低迷が続き、昨年の成長率は1%を下回り、失業率はおよそ27%で高止まりしている。汚職疑惑で昨年辞任したズマ前大統領の後を継いだラマポーザ氏は、腐敗一掃と改革推進に取り組むが、生活改善を実感できない低所得者層の不満は根強く、経済改革が行き詰った場合、南ア経済は混迷を深める可能性もある。


【南アフリカ経済指標】
14日火曜日
18:30南アフリカ第1四半期失業率


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*予想レンジ:7.50円~7.80円


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