【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は、軟調に推移した。イスタンブール市長選のやり直しやロシアのミサイル防衛システム「S400」の購入を巡る米国との軋轢に加え、トルコ中銀の外貨準備が減少していることへの懸念もあって、トルコリラは継続的に売られた。

トルコ政府当局者によると、同国財務省は中央銀行の法定準備金400億リラ(66億ドル)を政府予算に繰り入れる法案を検討している。財政赤字が予想以上に深刻なための措置という。法定準備は外貨準備とは別に、中銀が万が一の事態に備えて法に従い留保した利益。トルコ中銀のバランスシートによると、2018年末時点では2760億リラに上った。

米政府はトルコにロシア製ミサイル防衛システム「S400」の購入延期を要請したが、トルコ政府高官は、S400購入計画から手を引くことはないとの立場をあらためて示した。

*今週のトルコリラ円は上値の重い展開が続きそうだ。エルドアン大統領は、支持者の集会で、一部の国の経済攻撃にも関わらず、2023年のトルコ独立100周年までに経済で世界10位に入ることを目標にすると述べた。米国の経済的圧力に立ち向かう姿勢を見せた。米政府は16日、「一般特恵関税制度(GSP)の対象からトルコを除外する」と発表し、17日に実施された。GSPとは、開発途上国・地域からの輸入に対する関税を一部免除する制度であり、120カ国・地域が対象となっている。トルコは、対象から除外しないように米国に求めていた。トルコのS400購入計画をめぐり、両国の関係が悪化するなか、米国がGSPの対象からトルコを除外したことによって、関係はさらに悪化する可能性がある。

トルコは17日、自国通貨の防衛策をめぐり、中央銀行の法定準備金を政府予算に移管する計画を取りやめる一方、各金融機関に顧客が保有する外貨の両替を呼び掛けるよう要請した。国庫・財務省が中銀の法定準備金400億リラ(66億ドル)を政府予算に移管する法案を作成しているという。財政赤字が予想を上回っており、財政強化が狙い。ところが17日になって、関係筋2人が計画撤回を明らかにした。銀行調整監視機構(BDDK)のアクベン会長は、自国通貨が「投機筋」の攻勢にさらされているとの認識を示し、外貨預金の自国通貨建てシフトに取り組むよう各金融機関に求めた。「リラ建て預金を抱える支店に上乗せ金を支払ったり、各支店に目標を設けたりもできる」と例示した。中銀準備金の政府予算移管検討をめぐっては、中銀が新たな危機に対応する能力が低下し、一時的な財政支援にとどまると懸念していた。

トルコ政府は、一部の外貨取引にかかる銀行・保険取引税(BSMV)をゼロから0.1%に引き上げた。一般市民によるリラ売りを抑制することが狙い。 銀行間の外貨取引、国庫・財務省との外貨取引、外貨建てローンの返済に伴う外貨取引については、BSMVをゼロで据え置く。すべての外貨取引にかかるBSMVは1998年に0.1%に設定されたが、その後2008年にゼロに引き下げられていた。試算によると今回のBSMV引き上げで、政府の年間歳入が約10億─40億リラ(1億6500万─6億6000万ドル)増える可能性がある。トルコでは、リラ下支えのため、国営銀行がドル売り・リラ買いを続けているという。


【トルコ経済指標】
21日火曜日
16:00 5月消費者信頼感指数前回63.5

23日木曜日
16:00 5月景気動向指数前回100
16:00 5月設備稼働率前回75.0%


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*予想レンジ:17.00円~19.00円


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