5月24日(金)
【5月23日の海外相場および市況】
ny0524

*23日のNY外国為替市場では、世界的な株安からリスクオフモードが高まり、安全資産である円が買われ、109円台後半に下落した。109円55〜65銭。米国は中国の華為技術(ファーウェイ)を安全保障上のリスクが高い外国企業のリストに追加。グーグルなど米企業のほか、日本のパナソニック、KDDIなどもファーウェイとの取引を停止すると報じられ、米中貿易摩擦の激化が改めて懸念された。中国側が反発姿勢を見せている。激化する「米中ハイテク戦争」への懸念から、この日はアジアや欧州の株価が全面安となり、NYダウも朝方から大幅安となり、ドル売り・円買いが加速した。さらに、5月米製造業購買担当者景況指数(PMI)が2009年9月以来の低水準に落ち込み、米長期金利が急低下したこともドル売り要因となり、一時109円46銭まで円高が進んだ。EU離脱で政局が混迷する英国でメイ首相の辞任観測が強まっていることも、ドル円の地合いを圧迫した。

*23日のNY金は、米中貿易戦争の激化への懸念が再燃する中で買われ、続伸した。1285.40ドル(+11.20)。ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、トランプ政権が中国の防犯・監視システム最大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の製品が米国の利害を損なう恐れがあるとして、米企業による取引の制限を検討していると報道。米中貿易戦争が激化するのではないかとの懸念が再燃、世界的に株安が進行する中、安全資産とされる金が買われた。また、ドルが対ユーロで下落し、ドル建て金に割安感が生じた。5月米製造業購買担当者景況指数(PMI)が約10年ぶりの低水準となった。 4月米一戸建て新築住宅販売も前月の約11年半ぶりの高水準から減少した。これを受けて、ドル指数は2017年5月以来の高値から下落した。

NY白金は続落。799.50ドル(-5.80)。
パラジウムも安い。1307.80ドル(-5.70)。

NY白金は下落し、3カ月ぶりに節目となる800ドルを下回った。一時797ドルと2月中旬以来の安値を付けた。米中対立などに伴う景況感の悪化で非鉄金属など産業用の金属が軒並み下落し、白金も自動車向けの需要が減るとの観測が弱材料になった。NY白金は上場投資信託(ETF)への資金流入を追い風に年初から上昇し、4月には912ドルと11カ月ぶりの高値を付けたが、この1週間で6%下落した。米中対立が長期化するとの見方が強まり、市場は再び需給緩和を懸念した。英調査会社メタルズフォーカスの世界需給見通しによると、2019年の供給過剰量は19.6トンと前年比で8割増える。同社のリポートで「白金でガソリン車触媒を代替する動きが乏しい」と指摘されたことも失望売りを促したようだ。


*23日のNY原油は、米中経済関係の悪化を懸念した売りが殺到し、大幅続落した。57.91ドル(-3.15)。3月12日以来約2カ月半ぶりの安値となった。トランプ政権が自国の企業と中国の防犯・監視システム最大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)との取引を制限する措置を検討しているとの報道を受け、米中関係が悪化するとの懸念が再燃。米中による貿易協議再開の日程も固まらない中、二大経済大国による貿易戦争が長期化すれば、エネルギー需要の先行きに悪影響をもたらすとの見方が台頭し、相場は節目の60ドルを割り込んだ後、一時57.33ドルまで下落した。加えて、米国内の供給過剰懸念も引き続き相場の圧迫材料。米エネルギー情報局(EIA)が前日に発表した最新週の原油在庫は前週比470万バレル増と、市場予想の60万バレル減に反して大幅な積み増しとなった。この結果、戦略備蓄(SPR)を除く原油在庫は4億7677万バレルと、2017年7月28日までの週以来約1年10カ月ぶりの高水準に達した。また、米国内の増産基調も確認されたため、在庫がさらに積み上がるのではないかとの不安も浮上した。5月米製造業購買担当者景況指数(PMI)が50.6と、2009年9月以来の低水準となり、前月の52.6から低下したことも弱材料視された。原油相場は米国の対イラン制裁に関連したリスクプレミアムが拡大してきたが、現在このリスクが縮小傾向に向かっている。北海ブレント原油は、67.76ドル(-3.23)。

*23日のシカゴトウモロコシは反落。389.75セント(-4.75)。今春の米産地の作付けに遅れが出ているが、トランプ政権が発表した新たな農家支援策が、トウモロコシの作付けを促進する可能性があるとの見方が広がった。トランプ政権はこの日、中国との貿易摩擦が農家に及ぼす損害を緩和するため、160億ドルの新たな支援策を発表した。雨天により、米国のトウモロコシ作付けに遅れが出ている。特に中西部西域ではさらなる降雨が見込まれており、少なくともあと1週間は農地での作業ができない可能性がある。

シカゴ大豆は反落。821.50セント(-7.00)。今春の米産地は天候不順で作付けが遅れているものの、米農務省が発表した農家支援策により、全作物の作付けが進むとの見方が広がった。トランプ政権はこの日、中国との貿易摩擦に伴う農家の損害を和らげるため、160億ドルの新たな農家支援策を明らかにした。雨天やぬかるんだ農地がなお、米中西部の作付け進捗にとってのリスク要因となっている。こうした農地の状況により、トウモロコシから大豆への作付けシフトが促される可能性がある。

*23日のNYダウは、米中貿易摩擦の長期化への懸念から大幅続落した。2万5490.47ドル(-286.14)。米政府は先週、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)を安全保障上のリスクが高い外国企業のリストに追加し、同社へのハイテク製品輸出を原則禁止すると発表。グーグルなどの米企業に続き、このほどソフトバンクグループの英半導体設計大手アームや日本のパナソニック、KDDI(au)などもファーウェイとの取引を停止すると伝わり、市場では米中関係が一段と緊張するとの見方が広がった。中国商務省の高峰報道官は「米国が貿易協議を続けたければ、誠意を示して誤った行動を正すべき」と発言。両国に歩み寄りの姿勢が見えないことから貿易摩擦の長期化懸念が強まり、この日はリスク回避が加速し、一時448ドル安まで下げた。5月米製造業購買担当者景況指数(PMI)とサービス業PMIがともに市場予想を下回ったことも重石となった。


【24日の経済指標】
07:45   (NZ) 4月 貿易収支  9.22億NZドル   
08:30   (日) 4月 全国消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  0.5%   
08:30   (日) 4月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) [前年同月比]  0.8%
08:30   (日) 4月 全国消費者物価指数(CPI、生鮮食料品・エネルギー除く) [前年同月比]  0.4%   
13:30   (日) 3月 全産業活動指数 [前月比]  -0.2% 
17:30   (英) 4月 小売売上高 [前年同月比]  6.7%    
17:30   (英) 4月 小売売上高(除自動車) [前年同月比]  6.2%   
21:30   (米) 4月 耐久財受注 [前月比]  2.6%  -1.8% 
21:30   (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く [前月比]  0.3%  0.3% 
22:00   (メキシコ) 1-3月期 四半期国内総生産(GDP、確定値) [前年同期比]  1.3% 


第211回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/


*TOCOM TV 出演
https://youtu.be/LckFpKGtS74

https://tocomsquaretv.com/20190325/