【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は軟調に推移した。メキシコ自動車工業会(AMIA)加盟社の6月の自動車生産台数(大型車除く)は前年同月比4.44%減の33万7253台だった。上半期では前年同期比0.73%増の197万9062台。輸出は前年同月比1.69%増の32万0470台。上半期は前年同期比3.08%増の174万6813台となった。一方、国内販売台数は前年同月比11.39%減の10万6398台。上半期は前年同期比6.42%減の63万8597台にとどまった。

ウルスア財務相が突如辞任し、エレラ財務次官が後任に指名された。ウルスア氏はロペスオブラドール大統領と政策を巡る意見の不一致で辞めた最初の主要閣僚となった。辞任の影響でメキシコ・ペソは対ドルで一時2.3%下げた。メキシコ株も下落した。昨夜発表されたメキシコ6月消費者物価指数前年比3.95%、前回4.28%、予想3.6% 結果3.95%となり、インフレ率の低下が確認された。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、ペロシ米下院議長が今夏または初秋に北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を巡る採決を許可するだろうとの楽観的な見方を示した。

*今週のメキシコペソ円は、保ち合いとなりそうだ。メキシコは景気減速が続いている。2019年の実質成長率は金融危機の影響が出た09年以来の低水準になりそうだ。左派のロペスオブラドール大統領による強引な政権運営で投資が落ち込み、雇用や消費も悪化している。メキシコの1~3月期の実質成長率は前期比で0.2%のマイナス。19年通年の成長率は直近の民間金融機関の予想平均で1.13%。このまま民間機関の予想通りの結果になるなら、マイナス成長に落ち込んだ09年以来の低さになる。

メキシコ中央銀行が11日に公表した6月27日の政策会合の議事要旨によると、理事会は、インフレ指標がまちまちなことを踏まえ、慎重な政策スタンスを維持すべきだとの認識でほぼ一致した。一方、2人の理事会メンバーは利下げが正当化される兆候があると指摘した。メキシコ中銀は政策金利を12月以降8.25%で据え置いている。また、2014年6月以降、利下げを行っていない。議事要旨では「中銀は慎重で用心深い政策スタンスを維持し、インフレ率に影響を与える全ての要因を注視すべきだ」とし、コアインフレ率が高止まりしていることへの懸念を示した。最近の総合インフレ率の低下と経済成長の鈍化を背景に、中銀が利下げに傾いているとの見方が広がっている。理事会は、緩和サイクルの開始決定は、非常に慎重かつ注意深く行うべきだとの認識で一致した。市場では9月の会合で最初の利下げがあるとの見方が強まっている。ただ、インフレ見通しや今後の経済指標、通貨ペソの動きによっては8月の利下げもあり得るかもしれない。

トランプ政権は15日、米国への難民申請手続きに新たな基準を導入すると発表した。難民申請手続きに必要な要件を厳格化し、中米などから北上する移民流入の抑制に向け、メキシコ国境での難民申請をほぼ不可能とする。暫定規則は16日から実施される見通しで、新たな基準の下、移民は米国到着前にまずメキシコやグアテマラなどの「第3国」で迫害もしくは拷問からの保護を求める難民申請が義務付けられる。これによって、第3国で申請をしていない移民によるメキシコ国境での難民申請はほぼ不可能となる。メキシコのエブラルド外相は、新規則が一方的にメキシコを「安全な第3国」に指定することにはならないと言明した。


【メキシコ経済指標】
*特になし

peso0717

*予想レンジ:5.60円~5.80円


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