【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は下落した。ロペスオブラドール大統領は、同国の金利が減速しつつある景気にとって高過ぎるとしながらも、独自に金利を設定する中央銀行の独立性は尊重すると語った。ロペスオブラドール大統領は29日、米国への難民申請者に対する「安全な第三国」になることは受け入れられなかったと表明した。移民問題への最善の対応策は経済発展への協力で、メキシコは既にそれを実施してきたと述べ、「いわゆる安全な第三国の提案は受け入れていない。そのような合意に責任が持てなかった」と語った。

ペンス米副大統領は30日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は早急に批准する必要があると訴えた。ペンス副大統領は、民主党が多数派を占める議会下院が今秋、USMCAを可決することを期待していると語った。米国、メキシコ、カナダの首脳は昨年11月にUSMCAに署名。このうち、メキシコ議会は既に批准している。31日に発表されたメキシコの2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の季節調整済み速報値は前期(1~3月期)に比べて+0.1%だった。市場予想平均は-0.1%。サービス業などの第3次産業が+0.2%と牽引した。

*今週のメキシコペソ円は、上値の重い展開になりそうだ。メキシコ中銀は昨年4回の利上げを行った。1月(7.25%⇒7.50%)、6月(7.50%⇒7.75%)、11月(7.75%⇒8.00%)、12月(8.00%⇒8.25%)。その後は政策金利を8.25%で据え置いた。インフレ率を見ると今年に入って下落傾向を強め、直近では前期比+3.95%と中銀目標の上限である4%を下回っている。これを受けて、6月27日の中銀会合では、5人の政策メンバーのうち、1人が0.25%の利下げを主張した。また、据え置きに賛成した1人も、「インフレ率の鈍化が続けば比較的早期に利下げを行う必要がある」との見解を示した。

ロペスオブラドール大統領は先月29日、「経済成長を促すために利下げは重要だ」と話した。メキシコ経済は同政権誕生後、成長鈍化が目立っている。メキシコ銀行(中央銀行)の独立性は尊重するとしながらも、金融緩和による経済活性化を要望した。31日に発表されたメキシコの2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の季節調整済み速報値は前期(1~3月期)に比べて+0.1%だった。市場予想平均は-0.1%。サービス業などの第3次産業が+0.2%と牽引した。市場は前期に続くマイナス成長となり、景気後退局面に入ったと予想していたが、市場予想を上回る結果となった。1~6月期でも前年同期を上回った。ロペスオブラドール大統領は定例記者会見で「メキシコ経済は順調に成長している」と話したうえで、現状では今年の年間成長率の目標は2%増を維持するとの考えを示した。

18年12月に新政権が発足してから、新空港の建設中止や油田鉱区の入札無期延期などでメキシコの経済環境は混乱しており、投資の減少や消費低迷が続いているため、リセッション入りが予想されていたが、今回の数字は朗報となった。GDP発表前の29日、エレラ財務相は、総額250億ドル強の景気刺激策を発表した。インフラ整備や投資、民間消費を促進し、景気浮揚を図る。政府高官らによると、景気刺激策には税控除、モノとサービスへの政府支出の加速、インフラ基金の資金活用が含まれているという。エレラ氏は「インフラ事業の立ち上げを促進し、インフラ投資や民間消費を奨励する一連の措置に4850億ペソ(255億ドル)を投じる」と述べた。また、今年の政府支出を加速し、2020年以降に計画されていたモノとサービスの購入を前倒しすると語った。GDPはプラス成長となったものの辛うじてマイナス成長を逃れた状況ともいえる。市場では2019年後半には利下げに踏み切るとの見方が強まっている。今後は、景気刺激策や新NAFTA協定への期待からメキシコ経済の立ち直りが期待される。


【メキシコ経済指標】
5日月曜日
20:00 消費者信頼感前回107.5、予想106.7

8日木曜日
20:00 7月消費者物価指数前年比前回3.95%、予想3.8%

9日金曜日
20:00 鉱工業生産前年比前回-3.3%、予想-1.2%


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*予想レンジ:5.25円~5.65円

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