【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は堅調に推移した。メキシコのロペスオブラドール大統領は26日の定例会見で、9月10日に米メキシコ両政府で移民問題について会合を持つことを明らかにした。米政府の関税発動を回避するため、メキシコ政府が約束した不法移民対策の成果が評価される。会合は、6月に不法移民対策を約束してから9月5日に評価期間である90日が経過することを受けて開催される。会合の出席者や場所などの詳細は示されていないが、エブラルド外相らがワシントンに出向いて対策の成果について説明するとみられる。2018年12月の就任以来、一度も外遊していないロペスオブラドール氏自身が渡米する可能性もある。

関税発動回避のため、メキシコ政府は新設した治安部隊や警察など2万人以上を動員した体制で主に中米からの不法移民がメキシコを通過して米を目指して北上する流れを阻止している。エブラルド大統領はこの対策ですでに中米などからの不法移民の流入が大幅に減っていると主張しており、米政府にこうした成果をアピールしたい考え。7月のメキシコ貿易収支は111.7億ドルの赤字だった。前回256.1億ドル、予想46億ドル。メキシコ銀行(中央銀行)は28日、2019年の実質ベースの国内総生産(GDP)予想を引き下げ、前年比0.2~0.7%増とした。従来予想は0.8~1.8%増だった。メキシコ銀の予想の範囲にとどまれば、金融危機の影響を受けてマイナス成長に陥った09年以来の低成長になる可能性があるという。


*今週のメキシコペソ円は、保ち合いで推移しそうだ。メキシコ銀行(中央銀行)は、2019年の実質ベースの国内総生産(GDP)予想を引き下げたが、これは内需の伸びが前回予想時点よりも弱いままにとどまっており、4~6月期の経済成長率が前期比でゼロになったことが背景にある。20年の成長率も予想を下方修正し、1.5~2.5%増とした。従来予想は1.7~2.7%増だった。急速に停滞が目立ってきた経済に関して、政府は景気刺激策の一環としてインフラ投資の拡大を発表している。メキシコ銀行はこうした計画の実行などで、7~9月期以降は徐々に成長が加速していくとしている。

ただ、2018年12月に就任したロペスオブラドール大統領は新空港の建設を中止したほか、油田鉱区入札を無期延期にするなど、従来の民間主体の経済政策を否定する決定を続けている。外国からの投資も落ち込んでおり、投資不足が雇用や消費にも影を落としている状況で、経済成長の回復には時間がかかるとの見方が多い。メキシコ銀行が29日公表した今月15日の政策会合議事要旨によると、民間投資の停滞や国営石油会社ペメックスの経営問題などが、政策担当者にとって景気面での懸念要素になっていることが分かった。

メキシコ銀行はこの会合で2014年6月以来の利下げに踏み切り、政策金利を8.25%から25ベーシスポイント(bp)下げて8.0%とした。この決定にグスマン副総裁だけが反対し、金利据え置きを主張してきたことも判明した。メキシコ経済は第2四半期がゼロ成長にとどまり、今年前半を通じて景気後退寸前の状況になった。これについて議事要旨では、さえない投資と消費の鈍化を中心にほとんどの需要項目が弱かったことの反映だとの見方が示された。また議事要旨には「大半の政策委員が、不確実性を伴う環境が続いて民間投資に悪影響を及ぼしていると強調した。不確実性は新政権による公共政策に関するいくつかの決定や、治安問題や汚職を巡る不安に起因している」と記されている。

ペメックスとメキシコ政府の信用格付けに関する不透明感がもたらす懸念も注目された。政府は7月、世界で最も多くの借金を抱える石油会社となっているペメックスの支援策を打ち出したが、一段と格下げされるのではないかとの懸念は解消されていない。このため「ほとんどの政策委員会はペメックスが引き続きリスク要因であるとの意見で一致した。7月半ばの支援策は、原油増産についての疑問から同社の財務見通しへの信頼を回復できていない」という。


【メキシコ経済指標】
2日月曜日
20:00メキシコ景況感
23:30メキシコ製造業PMI

5日木曜日
20:00メキシコ消費者信頼感


peso0902

*予想レンジ:5.20円~5.35円


情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
*チャートの著作権は、㈱ミンカブジインフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、㈱ミンカブジインフォノイドは一切の責任を負いません。