【ドル円相場、今週の予想】
*今週のドル円は、108円を軸にして堅調に推移しそうだ。週明け16日のNY外国為替市場のドル円相場は、日米の金融政策決定会合を控えて108円台前半で小動きとなった。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が無人機攻撃を受け、生産が一時的に停止したことを明らかにした。原油供給への懸念からリスクオフが強まり、アジア時間の早朝に107円台半ばに急落。その後は徐々に下げ渋り、前日の米国時間に108円台前半を回復した。

17〜18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、18〜19日には日銀金融政策決定会合が開かれる。欧州中央銀行(ECB)が利下げを決定し、米国の利下げも確実視される中、日銀の対応を見極めたいとの思惑が広がり、次第にドルは買い戻された。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週のFOMCで追加利下げを決定すると予想されている。パウエル議長は9月6日の討論会で世界経済や米国経済にはやや強気な見方を示す一方、追加利下げを示唆しており、市場は0.25%ポイントの利下げ(2.25%⇒2.00%)を予想している。トランプ大統領は再三、大幅な利下げを要請しており、一部では0.5%ポイントの利下げも予想されているが、12日に発表された8月CPIは、コア指数前年比が18年7月以来の大幅な伸びを記録しと8月小売売上高も市場予想を上回った。インフレが回復しつつある点を踏まえると、大幅な利下げの可能性は小さいだろう。

ポイントは、声明やパウエル議長が会見で、年内の金融政策に関してハト派的な姿勢を見せるか、従来通りタカ派的な姿勢を維持するかであろう。利下げを受けて一時的にドル売りが強まる可能性はあるが、米中通商協議の進展期待が高まっているためドルの下落は長続きしないだろう。

19日の日銀金融政策決定会合では、黒田日銀総裁がマイナス金利の深堀りを示唆したことで、追加緩和への期待感が高まり円安要因となっている。ただ、すでに108円台へ上昇するなど円安基調が強まっている中で、追加緩和策を講じる可能性は低そうだ。

20日に予定されている米中次官級通商協議では、トランプ大統領が「暫定合意」を目指していることで、合意に向けた期待感が高まっている。ただ、ムニューシン財務長官が為替相場と為替操作も協議すると述べており、香港問題が絡無可能性もあり、暫定合意に失敗することも想定される。

懸念要因としては中東の地政学的リスクがある。14日にサウジアラビア東部の国営石油会社サウジアラムコの石油施設が、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による無人機(ドローン)で攻撃され、石油生産が日量570万バレル減少(世界の石油供給の5%超)すると報じられた。ポンペオ米国務長官は、イランによる攻撃の可能性と批判し、トランプ大統領は、「検証の結果次第では臨戦態勢を取る」と警告した。

国際軍事紛争の場合、巷では「有事のドル買い」と言われるが、湾岸戦争時を振り返ると米国が有事の当事者になった場合、「ドル売り・円買い」が進む。実際、週明け16日のアジア市場では一時107円50銭まで急落した。米国とイランとの軍事衝突の可能性が高まったり、実際に軍事衝突となればドル急落場面が出現しよう。


<今週の主な経済指標>
16日は中国小売売上高・鉱工業生産指数、トルコ失業率、NY連銀製造業景気指数、17日は中国新築住宅価格、独ZEW期待指数、米鉱工業生産指数、米FOMC(18日まで)、18日は貿易収支、日銀政策委員会・金融政策決定会合(1日目)、米住宅着工件数、米FOMC政策金利発表・FRB議長記者会見、19日は黒田日銀総裁が会見、豪失業率、英中銀金融政策、米景気先行指数、20日はユーロ圏消費者信頼感指数、ボストン連銀総裁が講演など。

*CFTC建玉9月10日時点:ファンドのドル売り・円買いは3万2591枚(前週比+4909枚)と増加。総取組高は15万1397枚と前週比6391枚の減少。

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*予想レンジ:106.50円~109.50円


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