【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は下落した。メキシコ隔週消費者物価指数は前年比2.99%、前回3.29%、予想3.2%だった。予想と前回を大幅に下回り大きくインフレが低下する内容だった。このため、26日のメキシコ中銀会会合では、利下げの可能性が高まるとの見方が強まり、売りが優勢となった。

一方、メキシコの国営石油会社ペメックスは、メキシコ政府の援助を受けて50億ドルの負債を減らしたそうで、メキシコペソには支援要因となっている。7月国内総生産(GDP)は、前月比(季節調整済み)0.1%縮小した。上期のメキシコ経済は、かろうじて景気後退(リセッション)入りを回避した。

メキシコ中央銀行は26日、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、8.00%から7.75%とすることを決定した。利下げは予想通り。インフレ低下やスラック(需給の緩み)の拡大などに対応した。中銀は声明で「インフレ率の低下や経済に内在する需給の緩みのほか、内外の長短国債利回り格差の動きを踏まえ、金利を7.75%に引き下げることを決定した」と表明した。

8月のメキシコ貿易収支(暫定値)は7億7500万ドルの黒字だった。輸出は前年同月比2.2%増の404億3010万ドル、輸入が5.9%減の396億5510万ドル。

トランプ政権はカナダ、メキシコとのNAFTAA改定を選挙公約に掲げ、18年11月に北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を締結した。ただ、野党・民主党が多数派を占める米下院は、トランプ政権の大きな成果となる同協定の議会審議を遅らせたままで、発効のメドが立っていなかった。

そして、トランプ大統領に対する弾劾調査が25日に開始されたことで、USMCAの議会批准手続きに狂いが生じる恐れがあると語った。一方、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、USMCAが議会で批准されることに自信を表明した上で、「批准されなければ、米経済に危機的な影響が及ぶだろう」と述べた。

*今週のメキシコペソ円は、上値の重い状況が続きそうだ。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)を含む世界の主要中銀が相次いで緩和措置を打ち出す中、新興国の中央銀行も追随して利下げに動いている。このようなマクロ環境の中、メキシコ経済が第1四半期にマイナス成長、第2四半期にゼロ成長となったのを受け、メキシコ中銀は8月15日の会合で2014年6月以来初めて利下げを実施した。8月の消費者物価指数が予想を下回り、約3年ぶりの低い上昇率となったため、中銀の利下げ余地は拡大していた。

9月に米連邦準備理事会(FRB)が利下げしたことにより、メキシコ中銀も金融市場を不安定化させることなく景気を刺激できる余地を得たため、9月の会合ではほぼ確実に25bpの追加利下げが実施されるとの見方が強まっていた。9月26日、メキシコ中央銀行は日、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、8.00%から7.75%とすることを決定した。インフレ低下やスラック(需給の緩み)の拡大などに対応した。声明で「インフレ率の低下や経済に内在する需給の緩みのほか、内外の長短国債利回り格差の動きを踏まえ、金利を7.75%に引き下げることを決定した」と表明。ただ「経済活動はこれまでの2四半期、および7月に停滞したが、今後は年末にかけてやや回復するとみられる」とし、メキシコ経済は最悪期を脱した可能性があるとの見方を示した。

メキシコ中銀は8月、政策金利を8.25%から8.00%に引き下げ、2014年6月以来約5年ぶりの金融緩和に踏み切った。メキシコでは2018年12月に就任したロペスオブラドール大統領の下、新空港の建設中止や油田鉱区入札の無期延期などで投資環境が混乱しており、投資の減少が雇用や消費の落ち込みを招いている。経済成長率は19年1~3月期に前期比でマイナスに落ち込み、4~6月期もゼロと停滞が鮮明。経済団体などからも利下げを要求する声が上がっていた。一方でインフレ率は安定してきている。9月前半も物価上昇率は2.99%とメキシコ銀が目標とする3%プラスマイナス1%の水準に入ってきた。米をはじめとした世界的な金融緩和の流れが続く中で、メキシコもさらなる利下げを決定する可能性がある。

【メキシコ経済指標】
10月1日火曜日
20:00メキシコ景況感前回49.7 予想49.2

10月2日水曜日
23:30メキシコ製造業PMI前回49 予想49.3

10月4日金曜日20:00メキシコ自動車輸出前回-12.7% 予想-6%

peso0930

*予想レンジ:5.3円~5.60円

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