【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は、地政学リスクを受けて下落した。7日、シリア北東部に駐留していた米軍が撤収を始めた。その後、トルコ軍は8日未明にかけて、クルド人部隊によるシリア北東部での補給を阻止するため、シリアとイラクの国境地帯で軍事攻撃を開始した。今回の攻撃について、シリアでの軍事作戦に先立ち、イラク・シリア間の輸送ルートを遮断することが主要な目標と説明。シリアへの輸送や武器を含む支援を断つと語った。

一方、トランプ大統領はツイッターで、IS掃討作戦で協力してきたクルド人勢力を見捨てたとの見方を否定。トルコが主要な貿易パートナーで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国だと強調した。シリアからの米軍撤収決定を巡っては、米与野党から批判が相次いでいる。トランプ大統領は、トルコが「禁じ手」に出ることがあれば、トルコ経済を「壊滅させる」と牽制もした。ホワイトハウスの報道官はこの日、トルコのエルドアン大統領がトランプ大統領の招待を受けて11月13日に訪米すると発表した。


*今週のトルコリラ円は、戻り売りが優勢となろう。トルコ軍はテロ組織と見なすクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」に対する攻撃を継続している。トルコはトランプ大統領がシリアからの米軍撤退を表明してから数日以内にシリア北東部での攻撃を開始。空爆と地上戦開始に続く攻撃で、戦闘員だけでなく民間人の死者も出ている。トルコはシリアの国境沿いに「安全地帯」を設け、シリア難民を帰還させることが目的と説明。クルド人勢力は多くのISの戦闘員の身柄を拘束しているため、混乱に乗じてこうしたIS戦闘員が逃げ出す恐れがあると指摘しているが、エルドアン大統領は、こうした戦闘員がこの地域で勢力を再び拡大させることは容認しないと表明。

一方、シリア北部を実効支配する少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)を中心とする勢力は13日、隣国トルコ軍の越境攻撃に対抗するため、シリアのアサド政権軍と協力することで合意したとの声明を出した。これを受け、アサド政権軍は14日、トルコ国境に近い地域へ進軍した。今後、YPGに対する攻勢を強めるトルコ軍とアサド政権軍との衝突に発展する恐れが出てきた。地政学的リスクの高まりを受けて海外の投資資金がトルコから流出する可能性が高い。トルコリラは先週、対ドルで1カ月ぶりの安値を付けた。トルコの主要株価指数も下がり、ドル建てソブリン債は2日連続の下落となった。

トルコ中銀は7月以降、2度利下げを実施した。今月4日に発表された経済指標でインフレ率が10%を切り、約3年ぶりの低水準となったことで、追加利下げも予想されている。しかし、地政学リスクを受けてトルコリラの下落が加速すれば、再び通貨危機が懸念される可能性がある。格付け会社S&Pグローバル・レーティングは9日、トルコがシリアで開始した軍事作戦を受け、トルコの通貨リラや国際収支のリスクが高まると指摘。ただ、同国のソブリン格付けへの現時点での影響は見込んでいないと述べた。トルコの観光産業は昨年から今年にかけて好調で、民間部門の回復力や競争力を示しているが、同産業に打撃となりかねない治安への見方が軍事作戦開始を受けて影響を受ける恐れがあるという。

これにより、雇用や外貨準備の水準、為替相場の安定性に被害を及ぼすまでに、外貨収入の総合的な回復が遅れる可能性があるとした。S&Pグローバルのトルコの信用格付けは「Bプラス」で、見通しは「安定的」。トルコ中央銀行のウイサル総裁は9日、インフレ率が目標圏まで低下するよう、金融政策において慎重なスタンスを維持すると表明した。 総裁は議会委員会に対して、最近の指標は景気が引き続き緩やかに回復し、国内の銀行が外貨の流動性で十分なバッファ(余裕)があることを示しているとの見解を示した。

【トルコ経済指標】
14日月曜日
16:00 8月鉱工業生産前年比前回-1.2% 、予想-0.7%

15日火曜日
16:00 小売販売前年比前回-3.7%、予想-2.8%
16:00 7月失業率前回13.0%

10月16日水曜日
16:00 9月住宅販売前年比前回+5.1%
20:30 8月住宅価格指数前年比前回+3.54%

17日木曜日
時間未定:EU首脳会議(トルコ制裁協議)


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*予想レンジ:17.50円~19.00円

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