【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は保ち合いだった。週明けは、米中通商協議の部分合意の見通しが立ったことや、ブレグジットの合意の可能性も高まったことで、底堅く推移し、7.3円台に上昇した。その後、国営電力会社エスコムが全土にわたる停電を発表したことが嫌気されてで、7.2円台まで反落した。しかし、発電計画を内閣が承認したことで反発し、再び7.3円台に引き戻した。

中国の第3四半期の国内総生産(GDP)が前年比6.0%増と、予想の6.1%増を下回ったものの6.0%台を維持したことは好感された。また、9月の同国鉱工業生産が前年比5.8%増、小売売上高が前年比7.8%増と、景気刺激策が一定の効果を発揮していることも南アランドをサポートした。

*今週の南アランド円は、保ち合いが続きそうだ。米中通商協議の部分合意に注目が集まるものの、英国の欧州連合(EU)離脱問題が混乱の種となり、リスクオンにはなりにくい環境にある。今週は9月消費者物価指数(CPI)が注目指標。南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)は、財政逼迫や高失業率対策のため利下げの意向が強いが、インフレ率が高止まりしているなら、利下げに踏み切りにくい。もし、CPIの結果が弱かった場合は、利下げへの連想から南ア経済にとってはプラスに働くことが予想され、南アランド円は買われるだろう。

先週、経営が悪化している国営電力大手エスコムは、発電能力不足のため全土での停電(ブラックアウト)を実施し、約2000メガワットの電力供給を削減した。同社の発電能力4万5000メガワットのうち1万0500メガワット以上が利用できなかった。発電所に石炭を運ぶコンベアーやボイラー管に不具合が生じているという。同国では今年2月から3月にかけて計画停電が実施され、第1四半期の経済成長率が大幅なマイナスとなった。

南ア政府は、エスコムを発電・送電・配電の3部門に分割し効率化を進める計画。今後2年で1000億ランド以上の支援も提案しているが、対策が不十分との指摘もある。南アフリカ政府は今週、長期の発電政策を議論する予定。今月中にはエスコムの新最高経営責任者(CEO)も発表するとみられている。ラマポーザ大統領は14日、ロンドンで投資家に対し、国営・南アフリカ航空の株式売却など、厳しい経済改革を進めていく用意があると表明。国営電力会社エスコムについても、民間の出資容認に前向きな姿勢を示唆した。エスコム救済がうまくいくかどうかが今後の南アランド円相場に影響しよう。

【南アフリカ経済指標】
22日火曜日
16:00 8月景気先行指数前回103.9、予想103.7

23日水曜日
17:00 9月消費者物価指数前年比前回+4.3%、予想+4.3%

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*予想レンジ:7.20円~7.50円


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