【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調だった。米国は13日、シリア北部に残る駐留米軍およそ1000人を全員撤収させると明らかにした。14日にトランプ大統領は、トルコに対する経済制裁を発表。同日にトルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、シリア北部への軍事侵攻を即座に止めるよう求めた。トルコは15日、トランプ大統領がシリア北部でのクルド人勢力に対する攻撃を即時停止するよう求めたにもかかわらず、攻撃を継続した。トルコによる攻撃が続く中、米軍撤退を受け、ロシアが支援するシリア軍が軍事的な要衝であるマンビジが勢力下に置かれた。

一方、シリア軍はタブカ空軍基地のほか、水力発電施設2カ所やユーフラテス川にかかる橋なども掌握した。ペンス副大統領は17日にトルコの首都アンカラを訪問し、エルドアン大統領と会談し、トルコへの経済制裁を維持するという方針を繰り返した。米検察当局は、トルコ国有銀行ハルクバンクが、イランに対する米制裁を回避する数十億ドル規模の計画に関与したとして起訴した。米政権高官によると、米政府はトルコの攻撃を停止させるため、さらなる制裁を科す可能性がある。また、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、現在の中東情勢を巡る懸念から、トルコでの10億ユーロ(11億ドル)規模の工場建設に関する最終的な決定を見合わせる方針を示した。18日、トルコがシリア軍事作戦の5日間停止で合意し、米国が厳しい制裁を科すとの見方が後退し、トルコリラは反発した。

*今週のトルコリラ円は、不安定な動きになりそうだ。トルコ軍によるシリア北部での越境軍事作戦で、攻撃を受ける少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)側は20日、シリア北部の要衝ラスアルアインから全戦闘員を撤退させたと発表した。トルコと米国は18日、YPGをトルコ・シリア国境地帯から撤退させるために120時間(5日間)の攻撃停止で合意したが、トルコ軍とYPGの衝突は続いており、停戦の実現は見通せない状況だ。ラスアルアインはトルコ国境沿いにあり、トルコ軍は完全制圧をめざして地上部隊を投入していた。YPG側は20日に出した声明で、ラスアルアインから撤退したと表明したうえで、「停戦合意にもかかわらずトルコ軍は攻撃を続けている」とトルコ側を非難した。

これに対し、トルコ国防省も20日に声明を出し、「ラスアルアインからのYPG撤退を確認した」としつつも、米国を仲介役とする攻撃停止の合意が発効した後も、YPG側から22回の違反行為があったと非難した。20日にはラスアルアインの約100キロ西にあるシリア北部テルアビヤドで、偵察中のトルコ軍兵士1人がYPGの攻撃で死亡したとしている。エルドアン大統領は20日、合意内容が実行されなければ、22日まで一時停止するとした軍事作戦を再開すると改めて警告した。米国ではグラム上院議員(共和党)が、トルコ国債の購入を禁止する法案を議会に提出したが、海外からの投資が縮小する可能性がある。今週は24日にトルコ中銀理事会が開催される。利下げが予想(16.5%⇒15.5%)されているが、当初より引き下げ幅は縮小する見込み。軍事行動が拡大すると見られる中、利下げを受けてトルコリラの地合いは不安定になりそうだ。

【トルコ経済指標】
22日火曜日
エルドアン・プーチン会談
トルコ軍シリア停戦期限

23日水曜日
16:00トルコ10月消費者信頼感指数前回55.8

24日木曜日
20:00トルコ中銀政策金利前回16.50% 予想15.50%

25日金曜日
16:00トルコ10月景気動向指数前回99.7   
16:00トルコ10月設備稼働率前回76.3%


lira1021

*予想レンジ:17.50円~19.50円


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