【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は小幅なレンジで保ち合いだった。メキシコ独自の経済指標に欠けていたため、外部要因に影響された。米中通商協議の部分合意見通しや英国の欧州連合(EU)離脱への見通し、中国国内総生産(GDP)の6.0%維持は支援要因だった。一方、トルコの地政学的リスクは新興国通貨全般には重石となった。

*今週のメキシコペソ円は、保ち合いが続きそうだ。メキシコ中銀は9月26日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げた(8.00%⇒7.75%)。メキシコ中銀は2会合連続で金利を引き下げた。メキシコのロペスオブラドール大統領は9月30日の定例会見で、メキシコ銀行(中央銀行)に対して物価上昇だけでなく「経済成長にも配慮すべきだ」と話した。経済成長が停滞する中、さらなる利下げを要求した。ロペスオブラドール大統領は金利引き下げについて「すばらしい決定」と称賛した上で、物価上昇だけでなく経済成長への配慮もすべきだと注文をつけ、さらなる引き下げを暗に求めた。同氏は会見で「もちろんメキシコ銀の独立性は尊重する。私の単なる意見だ」とも話した。

メキシコ経済はロペスオブラドール政権の下で停滞が鮮明になっている。メキシコシティ新空港の建設中止や油田鉱区入札の無期延期など、民間主導による経済成長を目指した従来政権の施策を矢継ぎ早に破棄してきた。投資環境が混乱し、雇用や消費にも影を落としている。2019年の経済成長率は1%を割り込み、金融危機の影響が出た2009年以来の低水準となるのが確実視されている。先週発表された9月消費者物価指数は前年比3.0%、前回3.16%、予想3.2%と予想より低下していた。インフレ低下という結果を受けて、メキシコ中銀の利下げ観測が高まると見られている。通常、利下げは通貨安を招くが、今は景気が落ち込んでいることから利下げにより景気浮揚が計られると思惑されよう。

今年7~9月の実質GDPは-0.8%とマイナス成長に転落した。次回会合は11月14日に開催される。国際通貨基金(IMF)は15日改定した世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%と予測し、7月時点から0.2ポイント下方修正した。世界経済は3%成長が好不況の境目とされる。米中の貿易戦争を受けて世界的に貿易や投資が減速しており、金融危機直後だった09年以来、10年ぶりの低い伸び率となる。中国は20年の成長率が30年ぶりに6%台を割り込むと予測した。米国も、19年の成長率見通しは2.4%と7月時点から0.2ポイント下方修正した。企業投資などが弱含み、18年の2.9%成長から減速しそうだ。メキシコは緊縮財政の影響で景気後退の瀬戸際にあり、各国・地域とも政策のミスマッチが目立つとされた。

【メキシコ経済指標】
*特になし

peso1021

*予想レンジ:5.5円~5.80円


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