【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は堅調に推移した。トルコリラは地政学的リスクの懸念が後退したことが好感された。トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は22日、ロシア南部ソチで会談し、ロシア軍とシリア軍がシリア北東部のクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」をトルコ国境から30キロシリア側に離れた地点まで退去させ、退去後の「安全地帯」をトルコとロシアが共同で警備することで合意した。

トルコは23日、シリア北部で新たな作戦を実行する必要性はなくなったと表明した。トランプ大統領は23日、トルコがシリア北部での停戦を恒久化する方針を示したとし、同国に対する制裁を解除すると表明した。トルコ中銀は24日、予想を超える利下げを決定した。これを受けてトルコリラは下落。トルコ中央銀行は、政策金利である1週間物レポレートを250ベーシスポイント(bp)引き下げ、16.5%から14.0%とすることを決定した。

*今週のトルコリラ円は、上値が重くなりそうだ。17日に米トルコ間で停戦合意が成立して以降、トルコリラは堅調に推移している。22日にロシアと国境沿いからクルド人武装勢力を排除することで一致した後には、軍事作戦が終了し、米国の制裁も解除されることになり、外交的リスクが遠のいた。このような背景のもと、トルコ中銀は24日、政策金利である1週間物レポレートを250ベーシスポイント(bp)引き下げ、16.5%から14.0%とすることを決定した。利下げは3会合連続。今回の利下げ幅は予想より拡大していたとして市場はやや否定的に見ている。トルコ中銀は声明で年末までのインフレ率の見通しが7月に示した13.9%を「かなり下回りそうだ」と指摘した。2018年夏の通貨危機を受けて、トルコは景気後退に陥り、物価上昇率は25%を超えたため、トルコ中銀は利上げで対応した。以降、物価上昇率は和らいでいる。

9月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比9.26%まで落ち着いた。中銀は、ベース効果が薄れることから年末までに物価が13.9%上昇まで加速するとの見通しを示している。ただ24日には「最新の見直しによると年末までの物価上昇率はこれまでの予測を大幅に下回るだろう」とした。市場は地政学リスクが後退し、利下げによる経済への影響を見極めようと慎重な姿勢をとるだろう。

トルコ政府は新たな税収増加策を検討しているという。高所得層や高額不動産、ホテル宿泊のほか、広告などのデジタルサービスに適用する税率を引き上げる。24日に議会に提出された法案には、外国為替取引の売上税を2倍にして、エルドアン大統領にこれをさらに引き上げる権限を付与することも盛り込まれている。高所得層からより多くの税を徴収する狙いのようで、所得税の階層区分は4段階から5段階に増える一方、法人税制に変更はない。また、政府は今年の財務省の借り入れ上限を700億リラ(121億7000万ドル)引き上げることも目指している。これにより年内に約300億リラの借り入れ余地が生まれるという。

【トルコ経済指標】
30日水曜日
16:00トルコ経済信頼感前回86.0

31日木曜日
16:00トルコ9月貿易収支前回-25.0億USD、予想-20.0億USD

lira1028

*予想レンジ:18.00円~19.00円

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