【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は上昇した。格付け会社ムーディーズは1日、南アフリカの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたものの、格付けは投資適格級で最低水準の「Baa3」に据え置いた。据え置きを受けて南アランドは買い戻された。ムーディーズ社は格付けは維持したものの、格付け見通しを引き下げたことで、向こう1年から1年半の間に格下げがある可能性を示唆した。

南アが投資適格級の格付けを失えば、南ア国債は世界国債インデックスから除外されるため、大規模な資金流出が発生する恐れがある。見通しはネガティブに引き下げられたが、投資適格を維持することができたことで、週初から格下げリスクでショートしていた南ア債やランドの買い戻しが優勢となり、南アランド円は買いが優勢となった。ただ、ムーディーズがすでにジャンク級であるエスコムの格付けを「B2」から「B3」へ引き下げたことや、7-9月期のBER消費者信頼感指数がマイナスに転じたことなどで上値も抑えられた。

*今週の南アランド円は、上値の重い展開になりそうだ。日本で開催されていたラグビー・ワールド・カップで南アフリカ・スプリングボックスが優勝したことは明るい材料で、南アフリカ景気に一時的には寄与すると思われるが、現実に目を向けるとなかなか厳しい。

高い失業率が改善する気配はなく、10月29日発表の直近失業率は29.1%で、このうち15~24歳の若年層に限れば50%を超える。このため低賃金で働く外国人労働者が職を奪っているとの不満が自国民に高まり、外国人が経営する店舗が襲撃されている。消費者信頼感指数も低下し、経営が悪化している国営電力会社エスコムが全土で停電を実施し、海外投資家の動揺が広がっている。

エスコムは7日から8日までステージ2の停電を実施し、2000メガワットの電力供給を削減。3つの発電機が電力を供給できなくなったと説明した。システムの抑制が続くため、8日も再び停電が発生する可能性は高いと付け加えた。エスコムは2月と3月にも停電を実施し、第1四半期の南ア経済成長率はマイナスに落ち込んだことは記憶に新しく、第4四半期の経済成長率も落ち込みが予想される。ムボウェニ財務相は10月末、2019年の実質成長率が0.5%になるとの見通しを公表した。2月時点で予想した1.5%を下回った。

主力輸出品のプラチナの価格低迷と、過剰な国営企業支援などが主因だ。歳入減にもつながり、19年度(19年4月~20年3月)の財政収支の赤字は国内総生産(GDP)比で10年ぶりの70%を超える高水準に達する見込み。国営企業改革の不調が財政負担となり、成長の足を引っ張っている。事実上の救済に多額の国費を投入し、財政の自由度が限られ、成長に必要な分野へ十分な投資ができない事態に陥っている。

国営電力会社エスコムは破綻寸前にある。同社は足元で4400億ランド(約3兆円)の負債を抱え、設備投資が遅れている。電力を安定して供給する能力にも欠けている。同様に多額の負債を抱える国営企業はほかにもあり、国費での救済が財政負担の拡大につながっている。南ア財務省によると18年度にGDP比で4.2%だった財政赤字は19年度は5.9%に達する見通しだ。20年度からの3年間の平均値は6.2%を見込む。

政府債務のGDP比は19年度が61%で、22年度には71%に拡大する見込み。南ア政府も財政再建を模索している。エスコムを分割したうえで電力業界への新規参入を促す競争促進策を発表し、ラマポーザ政権はこれを突破口に国営企業改革を進める方針だが、エスコムの労働組合が強く反対しており、改革の道は険しい。13日に9月小売売上高が発表される。


【南アフリカ経済指標】
13日水曜日
20:00 9月小売売上高前年比前回+1.1%、予想+1.9%

14日木曜日
18:30 金生産前年比前回-5.4%、予想-7.2%
18:30 鉱業生産前年比前回-3.2%、予想-2%

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*予想レンジ:7.20円~7.50円


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