【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。米国は2日、トランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害した。これに対し、イランは6日、「軍事施設」への報復攻撃と、2015年の核合意で定められたウラン濃縮制限を順守しない方針を宣言した。両国の対立が軍事衝突に発展するとの懸念が強まったものの、8日には、トランプ大統領がイランに対する軍事力行使に否定的な考えを示し、イランも「緊張激化や戦争は望んでいない」と表明した。

9日、メキシコペソは対ドルで約9カ月ぶりの高値から下落。中東地域の地政学的リスクが後退したことが新興国通貨のサポート要因になった。メキシコ12月消費者物価指数は前年比2.83%、予想2.9%、前回2.97%だった。中銀目標を大きく下回り、追加利下げに対する期待が高まった。

*今週のメキシコペソ円は、もち合いとなりそうだ。メキシコ銀行(中央銀行)は昨年12月19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を現状より0.25%引き下げ、7.25%に決定した。利下げは4会合連続。経済の停滞で金融緩和の必要性が高まるなか、物価上昇や通貨ペソの動きが安定していることから連続利下げの環境が整っていると判断した。メキシコの1~9月期の経済成長率は前年同期比横ばいと低迷。
11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3%増とメキシコ銀が目標とする2~4%の範囲内に収まっている。

メキシコ政府は、1日当たりの最低賃金を20%引き上げることを決めた。過去45年間で最大の賃上げとなる。中銀は議事録で「コアインフレ率が高水準を維持する可能性に言及し、最近の最低賃金の上昇が、就業人口の複数の部門において生産性の上昇を上回る賃金改定につながり、コスト関連の圧力を生み、雇用と物価に影響する可能性を指摘した。

一方で、最低賃金の上昇がインフレ率に与える影響は緩やかとの予想を示した。米議会で通商政策を担当する上院財政委員会は7日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の実施法案を賛成多数で可決した。超党派の支持を得て下院を既に通過。月内をめどとする上院本会議の審議で可決されれば、2020年中の発効へ前進する。

米与党・共和党の議会指導部は14日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の実施法案を週内に上院で採決する意向を表明した。与野党の賛成多数で承認される見通し。下院は既に法案を可決済みだ。新協定の発効に向けて大きなハードルとなっていた米議会の承認手続きがすべて完了する。共和が主導権を握る上院のトップ、マコネル院内総務が新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の承認手続きを今週進める方針を示し、16日にも採決する予定。トランプ大統領が実施法案に署名し、批准する見通し。メキシコ議会は既に承認を終えており、カナダも近く承認する方針。新協定は3カ国が批准して3カ月後に発効する。

【メキシコ経済指標】
*特になし

peso0115

*予想レンジ:5.75円~5.95円

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