【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は軟調だった。米・イラン間の地政学的リスクが後退し、米中通商協議の「部分合意」署名が行われたことで、南アランドは買われる場面もあったが、16日に、南アフリカ準備銀行(中央銀行、SARB)が政策金利であるレポレートを予想外に25ベーシスポイント(bp)引き下げ、6.25%にすることを決定したことが嫌気された。利下げは昨年7月以来で、全会一致で決定された。

2月の予算演説や3月のムーディーズによる格付け見直しを控えていることから、大半が据え置きを予想していた。ハニャホ中銀総裁は会見で、「インフレ予想の低下やリスク特性の拡大で、経済に一段の緩和政策を加える幾分の余地ができた」と説明した。SARBは今年と来年の経済成長率予測をそれぞれ1.2%、1.6%に下方修正。国内経済は「弱く」「脆弱」とし、短期的には電力供給の不足で経済活動の低迷が続く可能性が高いとの見方を示した。

*今週の南アランド円は、もち合いになりそうだ。南アフリカ準備銀行(中銀、SARB)は16日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を6.5%から6.25%に引き下げた。利下げは4会合ぶり。市場予想は据え置きだったが、2020年の成長率が1.2%程度にとどまるとの見込みの中、景気の刺激を図った。消費の低迷で物価上昇が弱まるとも判断した。SARBは、20年のインフレ率予想を4.7%に引き下げた。19年11月時点の予想は5.1%だった。同年の成長率予想も1.4%から0.2ポイント引き下げた。3月には主要格付け会社で唯一、南ア国債を「投資適格級」としている格付け会社ムーディーズによる見直しが予定されている。格下げとなれば資金流出によって南アランドの下落が強まりそうだ。

南アは電力会社エスコムをはじめとする非効率な国営企業の救済策などで財政が悪化しているが、経営健全化のめどは立っていない。南ア鉱業協議会は、南ア経済と社会の現状を好転させるには、南ア政府による緊急措置が必要であるとし、取り組むべき施策を整理した。特に、国有電力会社エスコムの問題と電力供給危機は南ア経済にとって最大のリスクであるとし、緊急の改革と再編が必要であり、短期的な電力供給のためには、民間部門による自家発電や太陽光・風力発電への投資促進や規制の緩和を進めるべきとした。国の財政危機にも触れ、過去10年間で南アの財務指標は著しく悪化し、公的債務の対GDP比率が2008年の24%から2020年には60%に上昇している。

南アは借金地獄(debt trap)に陥り、格付機関による投資適格性を失う危機に瀕している。声明の中で、鉱業協議会は、政府による財政再建のより積極的なアプローチと、堅実な財政支出計画の策定を要請した。市場は、与党・アフリカ民族会議(ANC)が4日間の日程で始めた会合に注目している。ANCは電力会社エスコムなど問題を抱える国営企業について協議するほか、中央銀行の国有化など意見の相違が大きい問題について意思統一を図る。経済指標では12月消費者物価指数(CPI)が注目される。予想より弱い場合は、更なる利下げ圧力が増しそうだが、インフレ抑制から市場には好感されよう。

【南アフリカ経済指標】
21日火曜日
16:00 11月景気先行指数前回103.9 予想104.0

22日水曜日
17:00 12月消費者物価指数前年比前回+3.6% 予想+4.0%
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予想レンジ:7.45円~7.75円

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