【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は大幅に上昇した。米・イラン間の地政学的リスクが後退し、米中通商協議の「部分合意」署名が行われたことで、市場環境が好転した。14日、共和が主導権を握る上院のトップ、マコネル院内総務が新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の承認手続きを今週進める方針を示したことも追い風になった。メキシコ議会は既に承認を終えており、カナダも近く承認する方針。新協定は3カ国が批准して3カ月後に発効する。米議会上院は16日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の実施法案を賛成多数で承認した。メキシコ議会は既に承認している。

17日、中国の経済指標を受け世界経済に対する楽観的な見方が台頭し、メキシコペソは上昇し、約1年ぶりの高値を付けた。中国国家統計局が発表した2019年の国内総生産(GDP)伸び率は6.1%と、1990年以来29年ぶりの低水準となったものの、GDP統計とともに発表された12月の各種経済指標は、鉱工業生産と投資の伸びが加速するなど、予想を上回る内容となった。これを受け、銅価格が8カ月ぶりの水準に上昇。メキシコは、世界銅鉱石生産量の3.3%を生産する世界第11位の国であり、埋蔵量は、チリ、豪州、ペルーに次ぐ世界第4位。

*今週のメキシコペソ円は、押し目買いが継続しそうだ。米議会上院は16日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の実施法案を賛成多数で承認した。メキシコ議会は既に承認している。1月下旬に再開するカナダ議会も円滑に承認するとみられている。26年ぶりの改定となる新協定は3カ国が批准して3カ月後に発効する。ムニューシン米財務長官は、米中の第1段階通商合意と新たな米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によって米国内総生産(GDP)は計50─75ベーシスポイント(bp)押し上げられるとの見通しを示した。メキシコでも同様に期待が高く、ロペスオブラドール大統領は、「朗報だ。今回の承認によりメキシコへの信頼感が醸成され、投資流入、企業の参入、高い給料を伴った仕事につながる」と語った。

銅や原油等の資源価格の上昇もサポート要因。1月9日付け業界紙によると、ロペスオブラドール大統領は、鉱業が雇用創出に加え国の経済の強靭化に寄与する重要な分野であり、持続的な開発が必要であると述べ、今後も積極的な開発を目指すとした。ただ、健康・生態系への影響は監視されるべきであり、鉱山企業に対しては秩序と環境保護の徹底を求めると付け加えた。
【メキシコ経済指標】
21日火曜日
21:00 12月失業率前回3.42%、予想3.44%

23日木曜日
21:00 隔週消費者物価指数前年比前回2.63%、予想2.9%

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*予想レンジ:5.80円~6.00円

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