【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は小動きだった。地政学的リスクが上値を抑えたものの、トルコ当局の介入でリラの下値はサポートされた。内戦が続くシリア北西部イドリブ県で3日、駐留するトルコ軍とシリアのアサド政権軍が直接交戦し、多数の死傷者が出た。トルコは全面衝突を避けるためアサド政権の後ろ盾のロシアと協議を始めた。シリアからの難民拡大を恐れるトルコはイドリブ県の本格停戦を目指すが、アサド政権軍は全土の制圧を狙い同県の反体制派を攻撃。同派の一部を支援するトルコが内戦に巻き込まれるリスクも残る。

エルドアン大統領は3日、訪問先のキエフでイドリブ県の状況について「制御不能だ」と懸念を表明した。アサド政権を支援するロシアに対し「義務を果たせ」と要求。「(カザフスタンの首都)アスタナであろうと(ロシア南部の保養地)ソチであろうと、そこで約束した義務の順守を誰に対しても求める」とも話した。トルコは自国通貨リラの下落に、市場介入で対抗している。今年の介入額はすでに70億ドルに達したという。昨年介入額は約300億ドル。

*今週のトルコリラ円は、もち合いが続きそうだ。トルコ中央銀行は、2019年7月25日の金融政策委員会で政策金利を24.00%から4.25%ポイント引き下げた。その後も9月12日に3.25%ポイント、10月24日に2.50%ポイント、12月12日に2.00%ポイント、2020年1月16日に0.75%ポイントと、5会合連続で利下げを決定し、政策金利を11.25%まで引き下げた。エルドアン大統領が利下げ圧力を強める一方、消費者物価(CPI)上昇率が2019年12月に前年同月比+11.8%へ加速したことに伴い、実質金利(政策金利からインフレ率を差し引いた金利)は-0.6%へ低下した。追加利下げ見通しも困難だろう。

3日に発表された1月消費者物価指数は前年比+12.15%と前回+11.84%、予想+11.81%をいずれも大きく上回った。本来なら利上げが議論されるところだが、今月19日の中銀会合ではどのような判断を下すのだろうか。内戦が続くシリア情勢は地政学的リスクとしてトルコリラの重石になろう。トルコはシリアから360万人の難民を受け入れており、エルドアン政権への有権者の不満が強まっている。トルコ軍は3日の交戦で大きな被害を受けたようで引き際が難しくなったとの指摘もある。仮に、トルコ軍がシリアに対してイドリブの主要地域を明け渡す事態になればエルドアン政権への批判は一段と強まりそうだ。

【トルコ経済指標】
10日月曜日
16:00 11月失業率前回13.4%

13日木曜日
16:00 12月鉱工業生産前年比前回+5.1%

14日金曜日
16:00 12月経常収支前回-5.2億USD   
16:00 1月住宅販売前年比前回+47.7%

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*予想レンジ:17.50円~18.50円

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