NY原油、コロナ感染拡大で上値重い
*石油輸出国機構とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、原油価格の押し上げに向けて、5月から日量970万バレル(世界需要の10%に相当)の減産を6月末まで実施するとしていたが、7月末までの延長を決定した。過去最大規模の協調減産を実施しているが、8月に減産量を縮小する可能性がある。NY原油が40ドル台で推移していることが要因。OPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)は、今後の削減量を協議する予定だが、今のところ過去最大規模の減産を8月にも延長する議論は出ていないという。

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*米国の在庫は増加傾向にある。9日に米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、原油在庫が570万バレル増だった。一方、ガソリン在庫は480万バレル減少していた。ただ、メキシコ湾岸の原油在庫は500万バレル増加し、過去最高を記録した。

*米エネルギー情報局(EIA)は、世界の原油需要は2021年末にかけて回復し、同年第4四半期までに需要は日量1億0110万バレルになると予想した。世界の原油需要は従来予想よりも速いペースで回復を続けていると見込んでいるが、新型コロナ第二波の影響を背景に需要が盛り上がって来ない。米国の新型コロナウイルス感染者数が急増し、原油需要の急速な回復期待が後退している。米国のジョンズ・ホプキンス大学によると、米国の新型コロナウイルス感染者数は8日、累計300万人を超えた。7日には6万人を超える新規感染が報告され、1日の感染者数としては過去最多を更新した。死者は13万人を上回り、感染者とともに世界最多。テキサス、フロリダなど南部や西部を中心に感染が深刻化しており、一部地域では経済活動の再開が一時中止されている。経済再開の動きが停滞し、景気回復の遅れが懸念されている。

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*こうした背景からファンドも強気になりきれないようだ。OPECプラスが減産延長を決定しても、CFTC建玉による買い越しは増加していない。
*テクニカル的に見ると3月に生じたギャップの上限42.17ドルが上値抵抗線になっている。
*減産により下支え効果と新型コロナ拡大による需要減退という弱材料に挟まれて、NY原油はレンジ相場を抜け出そうにない。当面は、35~45ドルのレンジで推移すると予想する。
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