【トルコリラ円今週の予想(7月14日)】
*上値重い展開。予想レンジ:15.00円~16.00円。
*トルコ中央銀行は、6月の金融会合で政策金利を8.25%に据え置いた。利下げが実施されなかったことで、市場では金融緩和サイクルの終了を期待する向きもあった。しかし、トルコ中銀金融政策会合議事録では、市場が期待していた金融緩和サイクル終了に関するものはなく、インフレが6月から年末にかけて上昇する可能性があるため、インフレを低下させるように金融スタンスを決めていくというものだった。13日発表された7月トルコ期末インフレ予測 は10.22%と前回9.54%を大きく上回った。トルコ中銀の予測調査では、前回よりもインフレが加速し、年末に10.22%に上昇する見込み。本来であれば政策金利の引き上げが期待されるところだが、エルドアン大統領の利下げ圧力の前に、トルコ中銀が来週の政策会合でどのような判断を下すか注目される。トルコ中銀は年末のトルコリラ予測も発表している。トルコリラドル年末予測(7月)前回7.22、結果7.22だった。1ドル=107円として、トルコ円は107÷7.22=14.8円の見込み。欧米との関係悪化が懸念される。トルコは10日、世界遺産の旧大聖堂で博物館のアヤソフィアを、イスラム教の礼拝の場であるモスク(礼拝所)に変更することを決めた。欧州連合(EU)や米国は、アヤソフィアのモスク化にそろって遺憾や失望の意を表明した。非宗教的な博物館からモスクへの改装は、エルドアン大統領が進める政教分離政策の見直しを象徴しており、欧米社会との距離が開きかねないと危惧されている。


<強材料>
1.内戦が続くシリア情勢を巡り、ロシア、イラン、トルコの3カ国首脳は、和平に向けて協力する方針を確認した。

2.6月経済信頼感は73.5と前回61.7より大幅に改善し、リラをサポートした。金利低下の影響で建設部門が大きく上昇したことが寄与した。

<弱材料>
1.格付け会社ムーディーズは、リビア問題等の地政学的なリスクが高まる中でスタグフレーションが長引いた場合、2018年に起きたトルコリラ暴落の再発につながる可能性があり、このままでは更に格下げされる可能性があると警告した。

2.格付け会社フィッチは、トルコの観光業が壊滅したことで今年のGDP予測をマイナス3%からマイナス3.9%に引き下げた。

3.欧州連合(EU)はトルコへの渡航禁止を解除しなかった。トルコでは新型コロナの感染が終息しているとは言い難く、むしろ悪化しつつある。トルコは経済状況の低迷を打破すべく観光業を復活させようとしたが、今回のEUの措置で躓いてしまった。


【トルコ経済指標】
13日月曜日
16:00トルコ5月経常収支前回-50.6億USD、予想-39.0億USD     
16:00トルコ5月鉱工業生産前年比前回-31.4%、予想-24.5%
16:00トルコ5月小売販売前年比前回-19.3%
20:30トルコ期末インフレ予測 前回9.54%

14日火曜日
16:00トルコ6月住宅販売前年比前回-44.6%

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