【トルコリラ円今週の予想(7月28日)】
*じり安の展開か。予想レンジ:14.80円~15.80円。
*週明け27日、トルコリラは15円を割り込む急落場面があった。トルコがキプロス沖のガス田を掘削しているが、フランスのマクロン大統領等が欧州連合(EU)にトルコへの制裁を呼び掛けたことが嫌気された。このガス田に関しては米国も中止を要請していた。この急落に対してトルコ中銀はリラ介入を行いリラ安を阻止した。エルドアン政権は通貨リラ防衛に注力している。トルコ中銀が市中銀行から預かる外貨まで流用して国営銀行を通じ、市場で買い支えていると指摘されている。買い支えの原資は中銀の外貨準備。金を除く純外貨準備は10日時点で496億ドル(約5兆3千億円)と2019年末から4割減った。中銀が外貨準備の減少を抑えるため市中銀行から預かる外貨を流用していると推測されている。トルコがリラ防衛に使った外貨は19年以降で約1千億ドルで同国の国内総生産(GDP)のほぼ8分の1にあたると目されている。トルコ中銀はじきに通貨を支えきれなくなるとの見方は多く、投機筋はリラ安を虎視眈々と狙っている可能性がある。1~6月期の財政収支は1090億リラ(約1兆7千億円)の赤字で、すでに20年通年の政府目標の9割に達した。経常収支は19年に18年ぶりの黒字に転換したが、20年は再び赤字幅を広げている。コロナウィルスの感染拡大による景気低迷でエルドアン大統領の支持率は低下している。
トルコ中央銀行は23日、主要政策金利の1週間物レポ金利を8.25%に据え置くことを決めたと発表した。据え置きは市場の予想通り。声明で中銀は、今年後半には需要主導のディスインフレ効果が広がるものの、年末にかけてインフレ高進リスクが考えられると指摘した。トルコ中銀のインフレ目標レンジは3~7%。


<強材料>
1.トルコ中銀がリラ防衛で買い支え。

2.観光業を再開し国外からの観光客を受け入れ可能になった。

<弱材料>
1.リビアを巡る地政学リスク。リビア内戦を巡り、隣国エジプトの国会は20日、非公開会合を開き、エジプト軍によるリビアへの部隊派遣を承認した。リビアでは、エジプトやロシアが支える有力軍事組織リビア国民軍(LNA)が、トルコが支援するシラージュ暫定政権と戦闘、暫定政権側が巻き返している。LNAの勢力下にある中部シルトでの攻防が焦点で、シシ氏はシルトなどを「レッドライン(越えてはならない一線)」と見なすとしている。

2.米国との関係が悪化。トルコがロシア製地対空ミサイルS-400を購入したことを受けて、制裁導入を可能にする法案が米議会で提出された。

3.米連邦準備理事会(FRB)は外貨不足に直面した海外の中銀に対し、米ドルを供給するスワップ協定の対象国を3月に拡充したが、トルコは含まれなかった。トルコはいざという時に米ドルに頼れない。


【トルコ経済指標】
27日月曜日
16:00トルコ7月景気動向指数前回89.8    
16:00トルコ7月設備稼働率前回66.0%

29日水曜日
16:00トルコ6月貿易収支前回-34.2億USD、予想-28.0億USD
16:30トルコ中銀インフレレポート
20:00トルコ中銀金融政策決定会合議事録

7月30日木曜日
16:00トルコ7月経済信頼感前回73.5

31日金曜日
16:00トルコ第2四半期観光収入前回$4.1B、予想$1.1B

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