【ドル円、今週の予想(8月25日)】
*予想レンジ:104~107円。
*今週のドル円は上値重く、戻り売り優勢か。先週19日、米連邦準備制度理事会(FRB)は7月28、29日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は0.00─0.25%に据え置かれ、新型コロナ禍からの景気回復に向け「あらゆる手段」を尽くすとし、必要な限り政策金利をゼロ%近辺にとどめると改めて表明していた。議事要旨では、一部メンバーが新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済の下支えに向け、追加緩和の必要性に言及していたことが分かった。新型コロナによる景気低迷には、かなりの先行き不透明感が存在するため、景気回復の推進と物価の2%目標への回帰に向け、追加緩和が求められる可能性もあるとの指摘があった。失業率とインフレ率が明確な目標に達するまで金利を変更しないと確約するフォワードガイダンスの強化についても討議された。国債利回りに一定の上限や誘導目標を設けるイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)については「現時点では正当化されないが、将来に向けた選択肢として残すべきとの意見が多数だった」とした。6月までの議事要旨では、将来の政策金利の指針「フォワードガイダンス」を、早期にFOMCで明確化することに前向きになっている状況が示唆され、9月15、16日に開催される次回FOMCで明確化が行われると期待されていたが、今回の議事要旨では明確化の緊急性を後退させた。米国債利回りに目標を設けるイールドカーブ・コントロール(YCC)については改めて消極的な姿勢が示された。今週27、28日に主要国の中央銀行首脳らが金融政策を議論する国際経済シンポジウム(通称ジャクソンホール会議)が開催される。主催するカンザスシティー連銀は議題を「今後10年間の指針―金融政策への示唆」と設定した。パウエルFRB議長は、初日に「金融政策の枠組みの再点検」と題して講演する予定で、ゼロ金利政策を長期間維持する政策方針に言及する可能性が高い。7月のFOMC議事要旨では、ゼロ金利政策を長期にわたって維持すると公約する「フォワード・ガイダンス」を導入する考えを表明しており、9月会合で導入される可能性が高く、市場はパウエル議長が具体的な手法に言及するのではないかと注目している。ゼロ金利政策が継続される公算が高いが、焦点はいつまで続けるかだろう。FRB内では物価や失業率に目標値を設定し、到達するまで利上げを見送ると明示する案などを検討しているという。現時点では2022年末時点でも物価上昇率は1.7%までしか高まらないと予測されており、ゼロ金利政策は少なくとも2022年末まで続く可能性がある。FRBは「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の導入には消極的だが、フォワード・ガイダンスで中長期の金利も引き下げられると考えているようだ。政策金利の低水準が維持され、実質金利(名目金利-インフレ率)が低下することが予想されることから、ドルの上値は重くなるだろう。また、米中対立のさらなる激化も世界経済を不安定にさせるためドルの重石になろう。新型コロナの再拡大も世界経済の回復の大きな懸念要因で圧迫材料だ。米ジョンズ・ホプキンズ大によると、新型コロナウイルス感染症による死者は22日、世界全体で80万人に達した。米国は依然として感染者数、死者数いずれも世界最多。24日には米共和党大会でトランプ大統領が演説する。米経済指標では、25日に消費者景気信頼感、27日に4~6月期国内総生産(GDP)改定値。戦後最悪となった速報値がどうなるか。26日に耐久財受注、27日に新規失業保険申請件数、28日に個人消費支出(PCE)物価などが公表される。各指標が悪化し景気減速懸念が強まればリスク回避からドル売りが強まり105円割れの可能性もあろう。なお、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬開発に関する報道で好材料出た場合、株価の反発とともにドルが上昇する可能性もあろう。


*CFTC建玉:8月18日時点のファンドのドル売り・円買いポジションは、2万0584枚(前週比-6432枚)。

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