【決め手にかける原油相場、レンジから抜け出せず】
昨日のNYダウは2万9100.50ドル(+454.84)で終えた。
約6カ月半ぶりに終値で2万9000ドル台を回復した。

特に株式市場を押し上げる要因があったわけではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)が低金利政策を長期化するとの見通しから全般に買われたようだ。

株式と同じくリスク資産と見られている原油相場は41.51ドル(-1.25)と下落して引けた。8月7日以来約1カ月ぶりの安値に沈んだ。

昨日発表された米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計では、8月28日時点の米国内原油在庫は前週比940万バレル減少し、市場予想の190万バレル減を大きく上回る取り崩しだった。マイナスは6週連続となった。

本来なら強材料となる在庫減少であるが、今回は大型ハリケーン「ローラ」が前週、米メキシコ湾沿岸に接近・上陸した影響で、周辺の石油関連施設の多くが操業を停止し、これが原油在庫の大幅減につながったにすぎないと指摘された。

ガソリン在庫も予想を上回る減少幅となったものの、21日時点に比べると規模が縮小しており、ガソリン需要の先細りに対するが強まった。

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季節要因的に9~10月はガソリン需要が減少し、暖房油需要も盛り上がらない需要の“端境期”にあたる。しかも今年は新型コロナウィルスの影響で、例年ほどにはガソリン需要は減少しており、何より航空機需要が消失している。

また、石油輸出国機構(OPEC)の8月の石油生産が日量約100万バレル増加したことも供給増加として嫌気されている。世界経済と石油需要が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から回復し始めている中、OPECとロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、過去最高となる減産規模を縮小している。13カ国が加盟するOPECの8月の産油量は、日量平均2427万バレルと、前月から95万バレル増加。30年ぶり低水準だった6月の産油量を大幅に上回った。8月に最も多く生産したのはサウジアラビアで、日量900万バレル。7月実績を60万バレル上回り、新たに設定した生産枠に近い水準となった。産油量が2番目に多かったのは、アラブ首長国連邦(UAE)。クウェートでも生産量が増加した。

8月ADP全米雇用報告で、非農業部門民間就業者数の増加幅が2カ月連続で市場予想を下回ったことも労働市場の回復が減速していることが示唆され、エネルギー需要の低下を招くと連想された。

NY原油は、200日移動平均線=43.25ドルに接近しておりハリケーンによる被害が出た場合、これをブレイクする事が期待されたが、結局、戻り売りが強まった。ファンドの買いも縮小しており買い圧力は後退している。

年初来高値60.75ドル(1月8日)と年初来安値23.26ドル(4月22日)で、これにフィボナッチ比率を当てはめると、0.38倍戻し=37.5ドル、0.5倍(半値)戻し=42.0ドル、0.62倍戻し=46.5ドル。

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現状の価格帯は、ほぼ半値戻しに位置しており、テクニカルで想定されるレンジに収まっている。当面の間、38~45ドルのレンジで推移すると予想する。



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