【需要懸念で原油は一段安の可能性】
*週明け7日のNY原油電子取引は下落、39ドル台前半で推移している。
先週末より節目の40ドルをさらに下回っており、一段安の可能性が高まっている。

需要が新型コロナウイルス感染拡大前のレベルを下回っている状況の中、サウジアラビアが10月の原油販売価格を引き下げた。

サウジの国営石油会社サウジアラムコは、アジア向けのアラビアンライト原油の公式販売価格(OSP)を予想以上に引き下げ、主要市場のアジアで燃料消費が低迷していることが示唆された。
同社は米国向けの価格も半年ぶりに引き下げた。

中国需要の先行き不透明感も重石。

世界最大の石油輸入国である中国が過去最大の買い入れで相場を支えてきたが、8月は輸入が鈍化し、石油製品輸出が増加した。

世界最大の石油消費国の米国でも最需要期にもかかわらず石油製品の販売不振が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、外出を手控える動きが広がりガソリン需要期のドライブシーズンは不発に終わった。コロナ禍のドライブシーズンは9月7日で終了。新型コロナの感染拡大により消費が落ち込んでいる。

各地で経済活動を再開した後も感染者数の増加は続き、8月末時点で累計で600万人を超えた。外出を自粛する人が増え8月に入ってから再び減った。

8月末に石油生産施設が集積するメキシコ湾に接近した大型ハリケーン「ローラ」も、一時的に人々の移動を抑えた。販売不振と生産の増加で、米国のガソリン在庫は高水準に積み上がり、7月末時点の在庫は約2億4780万バレルと適正水準(過去5年平均)よりも7%も多く、需要期にここまで在庫が高いのは異例。

9~10月はガソリン需要が先細り暖房油需要も盛り上がる時期ではない。いわば需要の「端境期」であって石油価格の押し上げ要因に欠ける。

10月下旬以降、石油製品の主力は暖房油に移る。しかし、今年は暖冬予報が出ており暖房油需要も減退する可能性がある。

米国立気象局によると、10~12月の気温はほぼ全米で例年より暖かくなる見込み。
ガソリン消費の回復の遅れに加え、冬場の暖房油販売が伸び悩めば原油価格は一段の下落も想定される。

CFTC建玉を見ると、ファンドの買い越しは50万枚を割り込み、強気見通しが後退していることをうかがわせる。

テクニカル的には200日移動平均線の抵抗を受けて戻り売りに遭った格好だ。

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年初来高値60.75ドル(1月8日)と年初来安値23.26ドル(4月22日)で、これにフィボナッチ比率を当てはめると、0.38倍戻し=37.5ドル、0.5倍(半値)戻し=42.0ドル、0.62倍戻し=46.5ドル。
半値戻しの水準を下回ったことで、想定されるレンジの下限が下落の目安になりそうだ。

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