欧州中央銀行(ECB)理事会終了、ユーロ、金の動きは?】

欧州中央銀行(ECB)は10日、定例理事会を開き、新型コロナウイルスの流行による景気低迷を受けて導入した大規模な金融緩和策の維持を決定した。政策金利も据え置いた。

政策金利については、市中銀行から預け入れられた余剰資金に適用する中銀預入金利が過去最低のマイナス0.5%

ECBはコロナ危機対応で3月に新設した7500億ユーロ(約94兆円)の資産購入枠を、6月に1兆3500億ユーロに増額。国債や社債など金融資産を買い入れて金融機関に大量の資金を供給したほか、銀行に長期資金を貸し付ける際の金利などの条件も緩和して融資を促し、企業や家計の資金繰りを支援してきた。

ユーロ圏では、新型コロナ感染封じ込めのための措置が緩和され、景気回復が続いている。
しかし、域内各国で感染が再拡大する中、先行き不透明感は依然根強い。

ユーロ圏の消費者物価指数(速報値)は8月が前年同月比0.2%低下。
4年3カ月ぶりにマイナス物価に陥り、ECBが政策目標に掲げる「2%弱」を大幅に下回る状態が続いている。

ラガルドECB総裁は記者会見で、7月以降急速に進んだユーロ高について、物価上昇の勢いを抑える恐れがあり、注意深く見守る考えを示した。

同総裁は、ECBの金融政策は為替レートを目標としたものではないと説明したが、「為替レートを注意深く監視する必要がある」と述べた。ただ、明確なユーロ高対策については言及しなかった。

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明確なユーロ高への牽制発言がなかったことで、ユーロは理事会後に1ユーロ=1.19ドル台に急反発した。しかし、NY市場に入ってからは急落し、結局、”往って来い”となった。

NY金も、ユーロドルの動向に連れて上昇後に急落し、日足では上ひげを引く格好となった。

ユーロの急落は、8日から始まった英国と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉が難航していることが要因。

EU欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は10日、ロンドンで開いた英国との臨時会合で、英政府が下院に提出した国際条約「離脱協定」の主要部分を反故にしようとする法案について、「もし可決されれば、離脱協定と国際法への極めて深刻な違反となる」と警告した。
その上で英国に対し、遅くとも月内に違法な部分を法案から撤回するよう迫った。

さらに、義務違反の際の法的措置が離脱協定に盛り込まれている点を挙げ、「EUは行使することを遠慮しない」と強調した。EU側は、法案が英領北アイルランドをめぐる和平合意を守るものだとする英国の主張を「受け入れない」とも指摘した。

1月末に欧州連合(EU)を離脱した英国とEUは10日、ロンドンで臨時会合を開き、国際条約「離脱協定」の主要部分を反故にしようとする英法案をめぐって議論した。
EUは、法案が成立すれば「極めて重大な国際法違反だ」と訴え、月内の修正を要求。英国の対応次第で法的措置も辞さない構えを示したが、英国は法案修正を拒否し、対立が一段と深刻化した。

これが嫌気され、ユーロとポンドが対ドルで下落に転じ、ユーロドルに波及したようだ。

英国が国際法を無視してまで法案を成立させようとしているのは、このFTA交渉で英国が追い詰められているともいえる。ユーロポンドの動きを見るとユーロの上昇が顕著なことがわかる。

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さて、金相場の動きと関連の深いユーロドルの動向であるが、上昇トレンドは崩れていないだろう。
欧州中央銀行(ECB)関係者によると、10日の理事会で、ユーロの上昇は経済ファンダメンタルズとおおむね整合的と判断し、米国との「通貨戦争」が発生しないよう、ユーロ高を現時点では看過することで一致したという。

ECB理事会に関与している関係筋によると、今回の理事会で、政策当局者はユーロ高がインフレと経済成長に及ぼすマイナスの影響について認識したものの、ユーロ高は欧州経済が米経済よりも良好であることに加え、米連邦準備理事会(FRB)の緩和的な政策スタンスへの期待が出ていることを正確に反映したものとの全般的な見解の一致があった。

このほか、ユーロ加盟19カ国が新型コロナウイルス感染拡大にうまく対応したことで信頼感が増していること、11月の米大統領選挙を前に先行き不透明感が高まっていることもユーロ高の要因と認識しているようだ。
その上で1ユーロ=1.20ドルという水準は、現時点では均衡為替レートからそれほど乖離していないとしている。

ECBのドラギ前総裁は為替相場のボラティリティーを「不確実性の源」と強い表現で形容したが、今回の声明では、「為替相場の動向を含む入手可能な情報を注意深く検証する」とするにとどめた。

以上からすればユーロドルは再び1ユーロ=1.2ドルを目指す上昇となりそうだ。
またそれに連れて金も買われていくと予想する。
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