【ドル円、今週の予想(9月14日)】
*予想レンジ:105.00~107.50円。
*今週は日米で金融会合があり、もち合いとなりそうだ。

14日に行われる自民党総裁選では、菅官房長官が第99代内閣総理大臣に選出される可能性が高い。安倍首相の辞任の際にはアベノミクスの「3本の矢」(大胆な金融政策・機動的な財政政策・成長戦略)の終焉が懸念され、円高に振れる場面もあった。しかし、菅官房長官が首相に就任した場合、アベノミクスを継承することが確認されると思われる。そのため、日本株高・円安の流れは継続しそうだ。

*15-16日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フォワードガイダンスが強化されるか資産購入枠が拡大されるか等が焦点になろう。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、FRBは雇用以上に物価安定を重視する姿勢を見せている。インフレ率に関しては長期的な平均を2%を目標として導入し、2%超のインフレ率を容認する新戦略を打ち出した。9月4日に発表された8月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から+137万1000人増となり、市場予想(同+135万人増)を上回った。失業率も8.4%と前回の10.2%から大きく低下し、平均時給も前月比+0.4%と強めの結果となった。これを受けてパウエルFRB議長は「雇用統計は良いものだったが、米経済には長期間の低金利が必要」と発言した。現状の低金利政策の継続が確認される形となり、ドル安に振れる場面が出そうだが、金融緩和を背景に米株の上昇も期待されるところから、ドル安は継続しないと予想される。16-17日に日銀政策決定会合が開かれるが、金融政策に変更はないだろう。

11月3日の米大統領選は、9月の第1月曜日(今年は7日)の「レーバーデー(労働者の日)」を境に終盤戦へ突入した。市場はトランプ、バイデン両候補の言動や支持率の変化に反応していく展開になるだろう。

共和党候補のトランプ大統領(74)は、民主党候補のバイデン前副大統領(77)を激戦州で追い上げている。新型コロナウイルスの感染拡大や黒人差別などで情勢が不透明さを増す中、両陣営の攻防が本格化してきた。各種世論調査の7日時点の平均支持率はバイデン氏49.9%に対し、トランプ氏42.8%と約7ポイント差。レーバーデーを劣勢で迎えた現職大統領は、再選を逃した1992年のブッシュ(父)氏以来。トランプ氏は7日のツイッターで「世論調査はすごく良くなってきた。われわれは2016年より大勝利する」と書き込むなど強気だ。背景にあるのは、勝敗を左右する激戦州で自らに勢いがあるという自信だ。特に接戦が予想されるのはラストベルト(さび付いた工業地帯)と呼ばれるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州。ノースカロライナ、フロリダ、アリゾナを加えた6州を「激戦州」として扱い、いずれも前回はトランプ氏が勝利している。トランプ氏は7月下旬時点のこの6州の平均支持率で約6ポイント後れを取っていたが、その差を約3ポイントまで縮めた。

トランプ大統領のなりふり構わぬ選挙戦では対中姿勢がより強硬なることも予想される。米中経済のデカップリングについてより具体的な言及が出る可能性もあり、米株価への絵影響も懸念されよう。

なお、世界の大手金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は10日、2020年の世界経済成長率の見通しをマイナス3.8%と、4月時点(マイナス2.8%)から下方修正した。中国とインドの回復が遅れていることが響く。成長率の落ち込み幅は、リーマン・ショック後の09年(0.4%)を大きく上回る見込み。IIFは、中国が09年時のような大規模インフラ投資による景気対策を講じていないほか、インド経済が深刻な不振に陥っていると指摘した。IIFによると、20年4~6月期の先進国成長率は前年同期比でマイナス11.5%、中国とインドを除く新興国はマイナス10.0%だった。国際通貨基金(IMF)は6月時点で、今年の世界経済成長率がマイナス4.9%と、統計でさかのぼれる1980年以降で最悪になると予測している。

*CFTC建玉:9月8日時点のファンドのドル売り・円買いポジションは、2万1742枚(前週比-7862枚)。

yen0914


情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
*チャートの著作権は、㈱ミンカブジインフォノイドに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、㈱ミンカブジインフォノイドは一切の責任を負いません。