【豪ドル円、中国と関係が懸念され上値重くなりそう】
オーストラリア準備銀行(RBA、豪中銀)は9月2日の理事会で、政策金利を過去最低の0.25%に据え置くと決定した。
ロウRBA総裁は声明で、新型コロナウイルスの感染拡大により豪州は「世界大恐慌の影響を受けた1930年代以来、最大の不況を経験している」と指摘。
今後は「必要な限り緩和的な政策を維持する」との方針を示した。

ロウ総裁は「今後の見通しは不確実性が高く、パンデミック(世界的大流行)が経済に長期にわたる影響を及ぼす可能性が高い」と述べた。

しかし、豪中銀が15日に公表した9月の金融政策決定会合の議事要旨では4~6月期について「経済の縮小は他国ほど厳しくはなかった」などの認識が示されており、「想定より悪化していない」との受け止めから豪ドルに買いが入った。


RBAが、新型コロナ感染拡大による経済の落ち込みを防衛するために、今年3月に2度の利下げを実施し、豪国債などを購入する量的緩和政策も導入した。豪ドルはRBAの思い切った金融政策を受けて、景気対策が奏功すると見られて上昇に転じた。


6月3日に発表された第1四半期(1~3月)の豪実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は前期比0.3%減少だった。新型コロナウイルスの影響で個人消費や輸出が低迷し、9年ぶりのマイナス成長となった。前期比でマイナスとなるのは2011年1~3月期(0.3%減)以来9年ぶり。2019年終わりから深刻化した森林火災も打撃となった。

9月2日、第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前期比マイナス7.0%と発表された。新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う制限措置の影響を受け、四半期ベースでは1959年の統計開始以来最大の落ち込みとなった。これによって、前期(同マイナス0.3%)に続く2四半期連続のマイナス成長となったことから、オーストラリアは29年ぶりに景気後退入りした。
好調な鉄鉱石輸出により鉱業輸出は好調だったが、全ての産業が減少した。フライデンバーグ財務相は「28年以上続いたオーストラリアの経済成長が正式に終わりを迎え、パンデミックが景気後退をもたらした」と述べた。また「ビクトリア州での感染再拡大によって8月初旬から開始した厳格な外出制限措置の影響は、第3四半期(7~9月)に重くのしかかるだろう」との見通しを示した。豪財務省の予測によると、ビクトリア州での感染再拡大によって第3四半期GDP成長率は今期からわずかに減少するか横ばいとなる見込みという。

1日に発表された4~6月の豪経常収支は177億豪ドル(約1兆3700億円、季節調整値)の黒字だった。かつて豪州は経常赤字国だったが、黒字転換したことでも豪ドル高圧力が強まっている。

豪ドルは、豪中銀の利下げ打ち止め観測に加えて、経常黒字が拡大し上値を探る展開が続くとの見方が多い。

豪州は鉄鉱石や石炭が主な輸出品目で、豪ドルは資源価格と連動しやすいのが特徴。
新型コロナウイルス禍をいち早く抑え込んだ中国の旺盛な需要を背景に豪州の鉄鉱石輸出が大きく伸び、それが豪ドルを押し上げたといえる。

中国の経済指標も予想を上回ってきており、中国と経済的な結びつきの強い豪州経済の回復が進みやすくなるとも見られている。

しかし、豪中の政治的軋轢は今後、一段と厳しいものになりそうで、豪ドルは次第に上値が重くなる可能性が高いと予想する。

豪州は新型コロナの発生源を調査するために中国武漢を調査すべきとして中国側の反発を招いた。その後も香港問題や南シナ海問題でことごとく中国と対立し、豪中関係には緊張が高まっている。

中国側は報復措置として豪州留学や観光を控えるように呼びかけたり、豪州産の小麦や牛肉、ワイン等の輸入品を止めたり、関税の上乗せを実施している。

こうした事態を憂いて、オーストラリアの大手輸出業者は政府に対して、中国との間で緊張した関係を解決するよう求めている。

中国向け羊肉輸出首位のフレッチャー・インターナショナル・エクスポートの創業者は、中国との関係悪化に歯止めがかからない現状に不満を示している。

乳業大手a2ミルクのジェフ・バビィッジ最高経営責任者(CEO)も同様に、政府が2国間関係に適切に対応していないと失望感を示した。

オーストラリアは11月に中国の上海で開催される中国国際輸入博覧会(CIIE)に対して、代表団の派遣を見送ることを決めた。
派遣の見送りは過去3年間で初めてとなる。

こうした事態が続く場合、オーストラリアの経済回復期待は徐々に萎んでいく可能性がある。

鉄鉱石の対中輸出に変化が出るかどうか注目される。
豪ドル円は、77円台と年初来高値圏で推移しているが、80円台に乗せても、一段高の可能性は低いと予想する。

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